バースデーフライト

シベリアで繁殖期を過ごした白鳥(コハクチョウとオオハクチョウ)たちは、北海道でしばし滞在した後、東北地方や新潟へと渡り越冬、さらに一部は北関東や琵琶湖湖北、米子・安来で越冬します。日本で一番たくさんの白鳥が集まるのが新潟、市街地の湖にも数千羽が集まる新潟へどうしても行ってみたくなりました。

記憶を辿ると、糸魚川や越後湯沢と新潟県のキワは行ったことがあるものの、47都道府県で秋田県と並んで自分には最も縁の薄かったのが新潟県です。かつて北前船で密接に結ばれていた日本一の米どころの新潟と独占的な米の集散地だった大阪、JR貨物は今も直通しているものの人の流れは北陸新幹線開業で分断されてしまいました。東京経由の新幹線乗り継ぎは時間もお金もかかりすぎ、阪急バスの夜行高速バスもなぜか運休中、結局の空路の一択です。

便数のある伊丹からの他、関空からPeachが週4便、神戸からもFDAがこの春に就航していて毎日1往復、それにバースデー割が使えると分かり、さんざんあーでもないこーでもないと悩んで、往きはFDA、帰りはPeachでチケットをゲット、旅程を悩むのも旅の楽しみではあります。

仕事の段取りや健康管理に普段以上に気をつけて出発の日を楽しみにしてきました。ただ新潟のお天気は2週間くらい前から雲マークと傘マークばかり、関西圏の鳥見であれば、天気予報を確認して出かけることができるものの、遠出の場合はどうしようもありません。少しでも晴れ間があればラッキーです。

ポートライナーで神戸空港に到着、正面は鵯越、新潟は曇りも関西は快晴ですがもやっていて明石海峡大橋はうっすら。

初めて利用するFDA、ペラペラのレシートじゃないカラーの搭乗券です。

神戸空港の便数が随分増えていました。スカイマークやFDAの他、エアドゥやソラシドエアも乗り入れ、JAL/ANAの伊丹、国際線とLCCの関空、リージョナルエアラインの神戸と関西3空港がうまく使い分けられています。札幌からエアドゥが到着。

ちびまる子ちゃんジェット

隣のゲートにFDAのエンブラエル175、機体番号JA03FJ、現状16機あってそれぞれ色が違うFDAの3号機、ピンクのちびまる子ちゃんジェットです。これで新潟へ向かいます。静岡空港がベースのFDA、清水に本社を構える大手物流会社、鈴与の100%子会社、つまり清水エスパルスの兄弟会社ということになります。

ゆったりした機内です。枕カバーの色は機体色に合わせてそれぞれ異なるそうです。グランドハンドリングさんたちに見送られテンションが上がります。

神戸空港から西へ離陸、淡路サービスエリアが見えます、播磨灘で旋回、真下にあるはずの明石海峡大橋が見えないのが残念。

正方形のお堀は丹波篠山です。

蛇行する流れは大堰川(保津川/桂川)、右下は亀岡、右側の席だと京都が一望できたはず。

琵琶湖です。

手前に彦根城、遠く山本山までくっきり。コハクチョウが飛んでいないか目を凝らしたけど、それは無理。

伊吹山を見下ろし関ヶ原上空を通過。

機内サービスが始まりました。コーヒーのあと、お誕生日おめでとうございます、と渡されたのがピンクのポーチ。割引だけじゃなくてプレゼントまでいただいちゃいました。すごく嬉しくていっきにFDAファンに。

白い山は白山、手前のゲレンデはダイナランドスキー場、西日本最大級だそうです。この時期の空からの眺めは、雪山やスキー場で現在地がとてもわかり易くなります。上空からのゴルフ場には反感を覚えるのにスキー場にはシンパシーを覚えてしまうのは、単に自己矛盾としかいいようがありません。

息を呑むような立山連峰の眺め、黒四ダムもくっきり、遠景は富山湾。地名を書き込んでみました。左側の席で大正解。

そして後立山連峰、右下大糸線白馬駅から八方尾根の名木山ゲレンデ、リーゼンスラローム、兎平、黒菱、そして唐松岳頂上までよーく見えます。こちらも地名を書き込んでみました。スキー、登山、受験合宿、半世紀ほど前の楽しい記憶がびっしり詰まっている北アルプスです。

東側から白馬三山、真ん中は栂池高原スキー場、栂の森ゲレンデからS字カーブを描くのは八方のリーゼンスラロームよりキツイ馬の背コース、最大斜度32°。リーゼンは滑ったことがあるけど馬の背は避けてました。

いかにもコニーデ型の山が見えます。妙高の東に位置する活火山の新潟焼山です。

座り心地のいいソフトレザーシート、今日は3割程度の搭乗率ですが、人気急上昇しそうなエアラインです。

上越市を過ぎた辺りで厚い雲で視界は塞がれてしまったものの、予想を遥かに超えて美しい山々を堪能させてもらいました。

高度を下げると手に汗握るほど揺れたけど、無事新潟空港に到着。

JA03FJちびまる子ちゃんジェットのお顔です。もう白鳥たちに会えなくても構わないかも、と思えるくらい素敵な1日おくれのバースデーフライトでした。

なぜか阪急バス、車体に新潟航空サービスとかかれています。神戸空港よりずっと大きいターミナルビルです。

福島潟

空港から30分ほどで最初の目的地、福島潟に到着。駐車場にクルマを止めると目の前にモズ。

今日の相棒はヤリス、ヴィッツの後継車種です。白鳥たちが採餌していそうな田んぼが広がっているのですが、白い点々は見つかりません。

巻き貝を突き刺したような建物はビュー福島潟という観光施設で、400円を払って中へ入ると、4階以上は有料で3階までは無料になってました。4階へ上がるまでもなく、2階で湖の方への通路が伸びていたのでそちらへ向かうと広大な草原と湖と雨に濡れた道。

現在の雨はちらちらくらいですが水たまりが多く朝からまとまって降っていたようです。

なんか夢の中にいるような景色が広がっています。カンムリカイツブリです。

編隊飛行のオオヒシクイです。湿地の中を1kmほど先まで遊歩道が続いていて、その先に野鳥観察施設らしき建物。

野鳥観察施設前にも駐車場があって巻き貝の駐車場から歩いてこなくても来れると分かりました。雁晴れ舎(がんばれしゃ)と名付けられた3階建で屋上まで上れ、寒くてもゆっくり観察できる屋内ではフィールドスコープが自由に使えトイレも完備、バードウォッチングには理想的な施設です。

十数人がバードウォッチング中も、白鳥たちは残らず付近の田んぼへ採餌に出かけているようです。

あっ白い鳥、ダイサギでした。観察施設の黒板には12月8日の出現鳥、7日にはオジロワシがやってきています。

自然学習園と名付けられた池沼群と並木道、雨は止んで少しだけ青空。自然のままじゃなくて人工的に自然が復元されていると分かりますが、学術的な裏付けされた整備と感じられます。

水生植物がいっぱい咲く8月頃に再訪したいと思います。

ビュー福島潟に戻り、せっかく400円払ったので4階から螺旋状のスロープを上がってみます。オオヒシクイの紹介とか興味深い展示も多いものの白鳥に1羽も会えていないので上まで上がって福島潟全体を再度チェック、やはりお留守のようです。ちなみに潟とは砂丘や砂州で遮られてでいて湖沼の意だそうです。後ろ髪を引かれつつカーナビをセットして日の暮れないウチに次の目的地へ向かいます。

カーナビの言う通りに福島潟南側の広大な田園地帯の道を進むと、いました!オオハクチョウたちです。路肩にクルマを停めて写真を撮り始めると降り出してきました。急いでクルマに戻ると路肩に停めたままが迷惑と分かり仕方なくクルマを出すとその先にも10羽ずつくらい白鳥たち。クルマから出ないで停めたまま窓からオオハクチョウを撮れる場所とかは見つからず、新潟市を出て阿賀野市内に入りました。

新潟の旅その2へ続く