大きい砂団子の作り方
白子ではトリオ・ザ・ミユビシギに会えたものの、秋のシギチの渡りの鳥たちに全然会えなかったのが心残り(ミユビシギは渡り鳥か留鳥か微妙です)。近鉄の週末フリーパスがあるものの、南海電車に乗って男里川河口へ向かいます。
泉佐野でサザンから普通に乗り換えると若者で満員。ロングパークでMusic Circusというダンスミュージックの音楽フェスが開催らしく、いつもひっそりした樽井駅がコミケの時の国際展示場駅みたいになってました。
樽井駅からイオンモール方面へ向かう若者たちとは反対に進み、男里川右岸河口ではなく清掃工場手前を左折したところの水路を覗くと10cmほどの魚の大群。ボラの幼魚です。
この水路をマップで見る限り、海とも男里川とも繋がっておらず南海電車の線路をくぐった辺りで途切れています。南へ行くほど幅が狭くなっているので、たぶん暗渠で海とつながっているのではと推測できるものの何のために作られた水路かは全く不明。
男里川河口左岸
菟砥橋の上からキアシシギ。風がかなり強く、橋の上では10m/sくらい吹いていそうです。
左岸に下りると中洲にイカルチドリ。
キアシシギです。川面は風が強くてお尻の羽が翻ってます。
波打ち際のキアシシギ、波はかなり高めです。
ウィンドサーフィンはかなりのスピード。
河口先端を歩いて右岸へ渡るのはちょっと無理。海の水は昨日の三河湾よりキレイに見えます。
池のハママツナがかなり繁殖域を広げ、青々としています。
見返り美人のシロチドリです。
尾崎の浜
ミサゴがやってきました。しばしホバリングしていたものの飛び込みませんでした。自分の頭上を通り過ぎた時、思わず手を振ってしまったのを近くにいた人に見られたはずで、ちょっと恥ずかしい。
干潟を歩きます。潮だまりから潜望鏡を伸ばしているはオサガニ。
気付かれないようにそーっと近づきます。
近くの巣穴からも出てきました。軸に目、それを収容する肩の窪みもあるのでオサガニではあるものの、脚にトゲトゲ、甲羅の縁にもトゲトゲ。オサガニ科オサガニ、ヤマトオサガニ、ヒメヤマトオサガニでもない別のオサガニと思われますが、名前がわかりません。
名前がわからないオサガニ、脚の付け根の内側が赤いです。もう間近というかズバリ自分の足元です。
関空大橋をバックにFedexとウィンドサーフィンと釣船「長安丸」。昨日より天気がよくなっているはずがどん曇りです。
浜ではハマゴウがまだまだ綺麗。
テトラポッドの近くにはハクセンシオマネキ。
コメツキガニ♀と♂が出てきました。♀の小さなハサミが可愛い。
真上からコメツキガニ。砂地じゃないところのコメツキガニも初めて見ました。
頭上をウミネコ通過。
スナガニの秘密
おぉーっ、巣穴と砂団子がいっぱい。
少し湿り気のある砂浜に腰を下ろして出てくるのを待っていると出てきてくれました。
ハサミのギザギザや甲羅の質感までくっきり。
巣穴に出入り、前からと背中から。
透明感のあるハサミが素敵です。
巣穴と巣穴は1〜2m離れているので複数同時にピントは合いません。
巣穴から砂の塊を運び出し外にポイっと投げ捨てています(動画から切り出し)。
甲羅の黒いのもいます。小さい砂団子製造シーンです。
最初の5秒に大きな砂団子搬出シーン、その後小さな砂団子製造シーンです。小さな砂団子は砂を掬い取って口に含みプランクトンやデトリタス(微細な有機物粒子)を濾し取った後の残骸です。大きな砂団子を初めて見た時はよほど大きなスナガニがいるのかを思っていたのですが、単純に穴を掘った残土であると謎が解けました。
スナガニを観察しているとまだまだ色んな疑問が出てきます。満潮になるとこの巣穴は水没するはず、その時スナガニは別の場所に巣穴を掘るのかと推測していたのですが、満潮時には巣穴に蓋をしてじっとしているらしいです。調べまくって結局Wikipediaのスナガニ科のページが一番分かりやすかったです。
コメツキガニやハクセンシオマネキがする大げさなウェービングをスナガニがしているのを見たことがなく、Wikipediaのスナガニはウェービングしないとの記述でナットクしかけたものの、夜の浜辺でウェービングしている動画がアップされていました。スナガニは基本的に夜行性で、今見てきたように昼間もそれなりに活動しているものの、やはり夜の方が活発でウェービングも♀に見てもらわないと意味がないので夜目も効くようです。
どこで産卵するのか、甲羅やハサミに色の違いは何か、等々まだまだ疑問は尽きないのですが、大きい砂団子の謎が、実際に自分の目で見て解けたのは大満足。
いわゆるカニのふんどし部分が狭いのでどちらも♂のようですが、1枚目はふんどしの上に白い歯のようなものが見えます。何をする部分なんでしょう。
スナガニたちの向こうにシギチ。嘴を地面に突っ込んでいる1カットしか撮れなかったのですが、ソリハシシギです。
レンズを引いて撮ってみると、スナガニが12匹写ってます。
キアシシギとシロチドリ。首を伸ばしたキアシシギはアオアシシギと見間違いそうです。
APPENDIX
ボラの幼魚の大群がいた水路ですが、マップをじっくり眺めると孝子越街道の南側で分流して東側の流れは天神の森を囲むように回り込んで泉佐野岩出線(空港道路)辺りで途切れるものの、その南側に途切れ途切れの水路が見えます。樽井小学校を挟んで山の井という遺跡が2箇所あります。日本書紀に伝わる五瀬命(神武天皇の兄)傷洗いの湧水があった場所だそうで、東側の遺跡の井戸は手動ポンプも設置されていて水は枯れていないようです。さらに八反(はちたん)川という現役の湧水らしき川も見つかりました(ストリートビュー)。
八反川とは地下水系を指しているようですが、ボラの幼魚の大群の水路も八反川なのか散々調べてみたものの確認でできませんでした。山の井や八反川の水質を科学的に分析した論文によると、分析結果は貴重で高質なミネラル水であり神話伝説が生まれた背景を裏付けていました。ボラはさほど清水でなくても生息できるのですが、八反川の高質な水は男里川にも流れ込んでいて、大阪湾で希少な男里川河口の豊かな生態系と無関係ではないはずです。
八反川で検索していると泉南市のサイトに樽井小学校区のみどころというPDFがみつかりました。樽井小学校平成21年度卒業生(現在25歳くらい)のどれもこれも個性いっぱいの素敵な作品がいっぱいも、紹介されている中で行ったことがあるのは天神の森くらい。こんどの男里川河口鳥見での楽しみが増えました。