大原野のアサギマダラ
見たことのあるアサギマダラは毛馬で20m先ばかり、もっと間近で見てみたいです。アサギマダラの大好物、「関西 フジバカマ」でググってみると大原野がヒットしました。てっきり三千院の大原辺りのことかと思いきや、西京区の南方、ポンポン山の向こう側です。
準絶滅危惧種のフジバカマの原種が大原野で発見され、地元の人たちが栽培、毎年フジバカマ祭りが開催されているそうです。フジバカマ祭りはもう終わってますが、ダメ元で行ってみることにします。
久々の阪急電車。ちょうど京とれいんが発車寸前、思わず乗ってしまうところでしたが、今日はこれに乗ると目的地を通り過ぎてしまうと気付き、次の特急で向います。
長岡天神で8300系準急に乗り換え、洛西口駅で初めて下車。あれっ、後ろは7300系。
阪急レンタサイクルで電動アシスト付を借りて、フジバカマ園近くのよしみねの里という漬物屋さんを目印に出発。
桂川の支流、小畑川沿いのコスモス畑、チラッとノビタキが見えた気がしたのですが、見つけられず。小畑川のさらに支流の善峰川に沿って遡って行きます。
途中の道端でBBQの準備をしていたグループで道がブロックされていたものの、えらく丁寧に謝ってもらって、気持ちよく通り抜けさせてもらいました。さわやかな里山風景が広がります。
ヒガンバナがまだ咲いてます。里山を抜けると山道になり、勾配が急になってきました。
小畑というバス停を過ぎ、よしみねの里までの最後の約600mがめちゃきつくて電動アシスト付でも押して歩くしかなくなりました。測ってみると600mで60mの標高差、つまり100‰の急勾配です。
よしみねの里にたどり着き、お店の人にフジバカマの場所を訊くと、やはりもう終わってますよ、とのこと。それでも行ってみます、と途を教えてもらいました。
上って来た道を少し戻り、谷への道の分岐点に自転車を置いて行くことにします。谷への道を下ると竹林にフジバカマ畑の案内板、竹林を抜けると誰もいないフジバカマ育成地。周囲にネットが張られているものの、チラリとアサギマダラが見えました。ネットは少し開けられていて「開放厳禁」とはあるものの「立入禁止」ではなさそうなので、入らせてもらいます。
間近でアサギマダラ、5頭くらいいて、自分のすぐ近くにも飛んできてくれます。ナミアゲハより大きく、ナガサキアゲハより少し小さいくらい、毛馬のアサギマダラとは別の種類じゃないかと思えるくらい大きいです。
後翅のすみっこに黒い斑点が見えます。性票と呼ばれる♂独自の模様です。
初めて見たフジバカマは、華やかなコスモスとは逆に地味で清楚、ピンクとも紫ともいい難い日本古来の装束のような高貴さを感じる色、山上憶良が選んだ秋の七草のひとつで、源氏物語の巻名にもなっています。
見た限り全部♂のようです。♂も♀もフジバカマの蜜に含まれるピロリジジンアルカロイドを摂取して天敵から身を守るのですが、フェロモンの素として必要とする♂にはさらに欠かせないピロリジジンアルカロイドです。藤袴に浅葱斑と漢字にできない有機化合物の組み合わせが楽しいです。
アキアカネはフジバカマに興味が無さそうです。フジバカマに鼻を近づけてみたものの、自分の鼻がおかしいのか、特別何の匂いもしませんでした。
飛んでる時間より留まっている時間の方が長いです。
テーブルが置かれていて、フジバカマ園移転のお知らせ、来年はここよりずっと麓に移動するそうです。募金箱というより募金杭が立てられていたので、わずかながらご協力。
来年フジバカマ園が移転してもアサギマダラたちが集まってくるのか、たぶん自分には全く認識できないごく僅かな匂いを頼りにやってきてくれそうに思います。
後ろ髪が惹かれる思いを残しアサギマダラたちにバイバイ、Bon voyage aux îles du sud!
竹林を抜け自転車を置いた場所に戻ります。ちなみに竹取物語の舞台は大原野だそうです。NTTの電波塔が見え、その向こうの小山は伏見の稲荷山、その奥の山並みは音羽山。
ペダルを一切こぐことなく、ブレーキをかけるだけで急な坂道を下りきった辺りの阪急バス小塩バス停、築50年は軽く経ってると思われる木造待合所に壁時計が正確に時間を刻み、電話代より集金コストがはるかに上回ると思われる公衆電話があります。JR向日町駅、阪急東向日駅から、善峯寺(小塩の次)まで日中1時間に1本走ってます。
バス停の少し麓側の坂道を上って、また下りて、灰方明治池にたどり着きました。フジバカマの原種がこの近くで発見されたそうですが、池には何も見当たりませんでした。
京都女子大のキャンパスをかすめて北側の谷に出ると田園が広がり、阪急バスじゃなくて京阪バスが走ってました。桂駅、京都駅から1日数本走っています。
まわりの田んぼはもう刈り入れの真っ最中なのに、なぜか青い田んぼ、おーっと、タシギらしきが見えました。
隣の畝にもう1羽いたもののスタコラと向こうへ行ってしまいました。こちらの畝のタシギ君はのんびり。
田んぼの斜面のマリーゴールド(たぶん)、その先にひまわり畑。さっきと同じように募金箱にチャリン。
10月に咲くヒマワリ、ちょっと小ぶりですが、十二分に艶やかです。
ここから洛西口への帰り道で迷ってしまいました。坂道を上ったり下ったりを繰り返して、かなり大規模なニュータウンを抜け、気がついたら西向日駅近く。
向日市の西側の丘陵地が洛西ニュータウンとして開発され、この丘陵地のさらに西側に大原野の里山が広がっていると分かりました。地下鉄東西線延伸の計画があったそうですが、少子高齢化が進むニュータウンに地下鉄がやってくる可能性はもう限りなく小さそうです。
見覚えのある色っぽい地名の交差点、学生時代のカノジョがこの辺に住んでいました。当時、東向日駅からバスに乗って行った記憶が残っているのですが、今や洛西口駅からすぐそばです。元カノのお父さんがここに家を構えた選択は正しかったようです。
稲穂と洛西口駅、終戦直後の短期間、物集女駅があった場所で平成15年開業、高架完成は平成28年、高架下におしゃれなお店が並んでました。
高架線のほぼ直線上にカタチのいい山、たぶん沢山515.6m、鷹峯の西辺りです。パヤパニャニャニャニャン、天下茶屋行準急で帰ります。
謎の蝶アサギマダラはなぜ未来が読めるのか?というKindle unlimited本に、アサギマダラはスポーツドリンクを飲むとあったので、持っていこうと思っていたのに忘れました。また来年かな。