こうのとりとコウノトリ
久々の豊岡出張。
ちょっと時間の余裕があったので、始発の新大阪まで行って自由席の見晴らしの良さそうな席をゲット。国鉄時代からの381系に代わって、1週間前に運行を始めたばかりの289系、元683系しらさぎを直流改造した車両です。
北陸新幹線開通で、特急はくたかとして金沢-越後湯沢間運用されていた車両がしらさぎが転用され、しらさぎで運用されていた車両がこうのとりに転用されました。鳥→鳥→鳥の変身です。ちなみに、はくたかや、しらさぎという名前の鳥は実在しませんが、こうのとりは国の特別天然記念物です。
上淀川橋梁を渡る車窓からみた柴島干潟です。4月に柴島干潟から撮った381系こうのとりを再掲します。
トンネルとトンネルに挟まれた武田尾駅、おや何か新しい橋を工事中のようです。景観に合った橋だといいのですが…。
こちらも2月に渓谷側から撮った381系こうのとりを再掲、上り列車ですが。
江原駅下車、城崎寄りの顔は北近畿初登場も、大阪寄りの顔は287系と殆ど同じ。381系と比べるとどうも特急電車としての「華」が感じられません。車内販売も自動販売機も、スモーキングルームも無し、振り子機構によるスピードアップも無し、北陸線ほど線路が整備されている訳でもないので、ちんたら走っている印象は拭えません。
西武の2代目レッドアロー10000系を思い出しました。初代の5000系(今も富山で現役)と比べると圧倒的に地味です。10000系の一部が5000系の復刻塗装になっているように、289系を国鉄色にすればかなり華やぐはずです。想像してみるとかなり似合うと思います。
江原駅前にあるガンピー穀物倉庫でミーティング、もう6年以上お世話になっています。簡単に表現するのは困難ですが、本当の美味しさとは何か、地元但馬の人たちの幸せにどうすれば貢献できるかを徹底的に追求、実践、社長自ら畑仕事や、店内のキッチンで惣菜づくりまでされている、全国的に類を見ないスーパーマーケットです。
新しくオープンしたイートインコーナー「農村カフェ」で、石窯焼のピザをごちそうになりました。小麦からして全然違っていました。トッピングやソースののっていない部分がこんなに美味しいピザは初めて。ランチタイムバイキングには地元の人だけじゃなくて、遠く神戸からも。
城崎のカニや、神鍋のスキーの帰り道、ぜひ立ち寄ってみてください。きっと食べてみたいものがいっぱい見つかるはずです。
ミーティング後、これからどうするのと聞かれて、ちょっとコウノトリを見に行つもりですと答えると、ありゃ、社長に送っていただけることに。
兵庫県立コウノトリの郷公園、公開ケージの中に16羽のコウノトリが写っています。内、確か9羽は羽が切られて飛べなくしていて、常時ここで観察できるようにしているものの、それ以外は何処にでも飛んで行くことができるコウノトリです。羽が切られていても髪の毛のようにまた生えてくるので、いずれまた何処にでも飛んでいけるようになるそうです。
国内での野生のコウノトリは1986年に絶滅しているものの、その後の人工繁殖でここコウノトリの郷で飼育されているコウノトリ、放鳥されたコウノトリは併せて178羽、放鳥されたコウノトリの産卵も確認されているそうです。
柵の上に止まっているのは飛べるコウノトリです。足環カタログから左足のピンク、黄色、グリーンの足環からJ0059、3歳の♀とわかります。
至近の情報としては、愛読している湖北の自然/野鳥撮影記にJ0481が湖北の長浜にいるところがレポートされています。また奈良の広大寺池にいるという日本野鳥の会奈良支部の情報もありました。
観光客が集まると、スタッフの人がレクチャーをしてくれています。ツルとよく間違えられるコウノトリですが、コウノトリは成鳥になると鳴かないと知りました。クラッタリングといって、嘴をカスタネットのように叩くことでコミュニケーションや意思表示をします。これに対してツルは鳴きます。
コウノトリはその場から舞い上がるものの、ツルは助走してから飛び上がります。コウノトリは樹上に巣を作り、木の上に止まることも多いのですが、ツルは木の上に止まることは無いそうです。梅にウグイスは間違いで正しくは梅にメジロ、と同様に、松に鶴は間違いで、松にコウノトリ、が正しいようです。
辺りにはアキアカネ(たぶん)がいっぱい舞っています。それをパクンとコウノトリが食べてしまいます。
3時頃にケージ内で給餌するので、野山にいるコウノトリたちも、苦労せずに餌が食べられるので帰ってくる、と聞いて、しばらく周囲をぶらぶらします。
と、ほぼ3時ちょうどに大空を舞うコウノトリが!こんなシーンを撮れるなんで。3時01分、まるで時計を持っているように正確です。気づいた限りでは3羽帰ってきました。
急ぎ公開ケージに戻ってみると、外の仲間たちが帰ってきて賑やかになってます。
3時22分おなかがいっぱいになった1羽が野山に帰っていきました。
自分も3時30分のバスで帰るだったのですが、あと2羽、野山に帰るはずだし、この場を去りがたく、16時58分の終バスまでねばってみることにしました。
公開ケージのある観察ゾーンから10分ほど歩いた東側の谷が奥の方まで飼育ゾーンになっています。飼育ゾーンは非公開ですが、その手前が人工湿地の公園になっていて気持ちのいい散策ができます。
観察ゾーンの囲いの外にもう1羽。左足を上げているので個体番号はわかりません。
コウノトリだけじゃなくて、色んな野鳥がいそうな環境ですが、見つけたのはホオジロだけ。まだ4時を廻ったばかりなのにだいぶ日が陰ってきました。
合鴨の小屋がありました。コウノトリの郷周辺の農家も無農薬栽培に切り替える等協力、コウノトリが生息可能な環境づくりが地域ぐるみで行われている証左です。合鴨農法については実際に実施している島根県の農家の方にお話を伺ってことがあるのですが、ハンパなく手間ヒマかかる米作りです。
夕暮れの里山、あまりに美しい。
あっという間に1時間半が経ってしまいました。まだ池の中をつついている子もいるものの、既に爆睡モードの子も。もう2羽、野山に飛び立つものと期待していたのですが、見逃したか、あるいは、今日はケージでお泊まりのようです。
豊岡駅には381系が留置されていました。帰りは運良く播但線経由の特急はまかぜ、キハ189系3両編成です。189系のシート、289系のシートと比べると明らかに横幅が広く豪華です。
城崎温泉-大阪間192.3km中、播但線の和田山-寺前間36.1kmだけが非電化なのでディーゼルカーな訳ですが、ディーゼル音が心地よく、真っ暗な山中を走行していても、退屈しません。
外は既に真っ暗なので、車内アナウンスと走行音に画像をはめ込んでみました。和田山駅を発車したところです。
竹田駅を発車、かなりの山奥を走るので携帯電話がつながりにくくなるとのアナウンスも。
ライトアップされた姫路城を眺め姫路到着、よほど途中下車してどろ焼きで一杯と思ったのですが、豊岡から大阪の切符では姫路で途中下車できないことに気づいて諦めました。