元オスロ市電・とさでん198形

始発の地下鉄、始発の新幹線を乗り継いで、岡山から南風1号で1年ぶりの高知へ。

瀬戸大橋で見つけたきれいな二等辺三角形の島、調べてみたら大槌島という無人島です。この島の真ん中を岡山県と香川県の県境が走っています。島フェチもやってみたいな、と思います。

宇多津で7分停車、南風の後ろに高松始発のしまんと3号を連結。

高知到着は9時半過ぎ、午後のミーティングまで十分時間があるので、朝倉まで往復してくるつもりで、はりまや橋で乗り換え。

と、その時、高知駅へ向かう元ノルウェー・オスロ市電の198形がやって来ました。

朝倉へ向かうのをやめて、198形が戻ってくるのをはりまや橋で待つことにします。復刻塗装の200形213号と、とさでんの最主力600形のトップナンバーです。

戻ってきました。801形と続行運転です。桟橋通五丁目行のはず、と思っていたら、枡形行になってました。急いで桟橋線のりばから伊野線のりばへ移動します。

198形のヨーロピアンな車内、日本の路面電車とは全然趣きの異なるレイアウトの運転台。

ワンマン化していないので、車掌さんが乗務しています。天井には中世ヨーロッパ風の地図。

「私の履歴書」は他の車両と違ってちゃんとしたパネルになっていました。1939年製、75歳の電車です。車内も最低限の改造だけで元の姿を大事にしているとわかります。

枡形に到着、写真を撮っていたら、上品な奥さんが声をかけてきました。県外からいらしたの?この電車、時々走っているわよ。高知市民自慢の電車になっているようです。

枡形電停では折り返し電車を見送り、隣のグランド前駅をズーム。

『土・日・祝日の「高知駅前⇔枡形」直通便は、季節に合わせて、魅力的な電車が走ります!!』というポスター。今日は198形ですが、元オーストリア・グラーツ市電の320形や元ポルトガル・リスボン市電の910形が走る日もあるようです。「外国電車」はクーラーががついていないので、夏場は「アンパンマン」ということのようです。

運行時刻表をチェックすると高知駅前に行けば198形がいるはずなので、戻ります。

ポスターでは高知駅前が「撮影ポイント」になっていましたが、さほどの撮影ポイントとは言いがたいものの、じっくり眺めるには好都合です。

198形、「私の履歴書」にもあるように「Gold Fish - Gullfisk - 金魚電車」と呼ばれています。日本の金魚鉢電車、阪神国道線の電車とも似ています。Wikipeiaに詳しいページがありました。ノルウェーで1937年から1939年に生産され、流麗なデザインのアルミ車体、快適なインテリア、最高速度65km/h、と登場当時は画期的な車両だったようです。産業遺産に登録されておかしくないです。

はりまや橋の西側の歩道橋から狙うことにします。

600形アンパンマンミュージアムの広告電車、こっち側はバイキンマン、反対側はアンパンマンです。広告電車としては秀逸なデザイン。

大きな車体が交差点を曲がってきます。だんじりのやりまわしを思い起こさせます。

198形の全長は15.9m、600形の約13m、200形の11.6mと較べてかなり大きいです。ちなみに国内の路面電車としては大型の阪堺電車モ161形は13.7m、堺トラム3連接全体で16.7mなので、堺トラムが1両のままで走っている感じです。

知寄町方向からやってきたのは新しいとさでん交通のCIカラーになった600形です。

はりまや橋から堀詰。

堀詰電停で600形と行き違い。

Digital Musiumというノルウェーのサイトで198号がオスロ市電として活躍していた頃の写真を見つけました。

現状の濃いブルーに水玉模様にはいつ変わったのか、日本に来てからでは、と思っていたのですが、水玉模様の中に描かれているイラストが、日本人の作品とはちょっと違うテイストです。おそらくノルウェーの人のイラストではないかと思われます。ということは、細かいイラストまで長年メンテナンスしている、ということになります。

電気廻りや走行部品などが故障してもパーツが手に入るはずもなく、手元のパーツや、手づくり部品で補修してきたと思われ、とさでんのメカニックの人たちの高い技術力がないと、この姿を見ることは叶わないはずです。

ノルウェーの鉄ちゃんを高知へ案内して自慢したいところです。

ツリカケ音は日本の電車と変わりませんね。

翌日の朝倉駅前です。アンパンマンミュージアム号がやってきました。

朝倉駅前電停で「いの」行サボを掲げた700形と交換、プラットホームはなく、道路のグリーンの部分がその代わりです。

全国でも数カ所でしか見られないタブレット交換シーン。

ここまで198形がやってくることはないのですが、グラーツ市電やリスボン市電とのタブレット交換、見てみたいものです。