大阪くらしの今昔館
前から気になっていた天六のくらしの今昔館に行ってきました。歴史博物館同様に上の階から見ていくようになっていて、最初に広がるのが実物大で再現された江戸時代の大阪の町屋を上から見る風景。米朝師匠の解説付きです。
下の階に降りると、上から見たそれぞれの町屋の中に入って見学できるようになっています。長屋だったり、絵草紙屋だったり、大きな商家だったりするのですが、なぜか、いくつもの建物で雪隠がかなりこだわって作りこまれていました。
もう一つ降りると、明治から昭和の大阪の街並みの6つのジオラマがあります。かなり良くできたジオラマです。
明治末頃の堺筋、北船場辺りです。ポール終電の市電に合わせて、全体がきっちりHOスケール(たぶん1/87)になっています。
戦前の空堀通、なんとかつてはレンガ敷になっていたようです。一部の家屋はカットアウトになっていて中を覗けるようになっています。こっちはOスケール(1/45)くらいの感じです。
空襲で焼けだされた人たち救済のために設置されたバス住宅、城北公園のあたりのようです。
最後は高度成長が始まる頃の市営住宅です。
さてこのジオラマこれだけじゃありませんでした。同じフロアのスクリーンで大阪の住まいの変遷を八千草薫さんが語るムービーが始まったと思ったら、ストーリーの展開に併せ、ジオラマが移動して、上から新たなジオラマが登場します。
空堀のジオラマは散髪屋さん(大阪では床屋とは言わない)のジオラマに変身。
バス住宅も中を覗かせてくれます。ドアを開けようとしている、戦争未亡人の若いお母さんが全体の物語の主人公、右側のおっちゃんと結婚するというストーリーです。
市営住宅をベランダから覗くとこんな感じです。
いや~、感心するくらいよくできたジオラマと人形の演出です。この人形たち、高橋まゆみさんの作品ではないでしょうか?違っていたらゴメンなさい。
梅田ステンショ開業の頃の錦絵風展示なんかもあります。大阪-神戸の開業は明治7年、新橋-横浜より2年遅れているだけなんですね。大阪の底力のようなものも感じさせます。
実物の再現やジオラマはすごいのですが、資料展示は全くありません。博物館というよりテーマパーク的な展開です。展示のコンセプトが歴史博物館とかなり似通っていて、同じ大阪市営でふたつも必要かと思っていたのですが、博物館と歴史テーマパーク位置づけるとオッケーでしょう。
続いて企画展示の「昭和レトロ家電展」、こっちは全て実物資料、昭和30-40年代の懐かしい家電が、200点近く展示されていました。テレビ、冷蔵庫、洗濯機といった大物だけじゃなくて、電話機、トースター、ドライヤー、扇風機、電気あんか、とかなり幅広いジャンルです。
ダイヤルが両側についていて向かい合った人がどちらからでもかけられる電話機(どちらかが左利きである必要があり、電話の向きを変えたほうが早い!)、電動消しゴム(明らかに手で動かしたほうが早く確実に消せる!)、ミルクを温める、目玉焼きを焼く、トーストを焼く、ということを一遍にやってしまう「朝食マシン」とか、よくぞこんな家電を発売した、と思わせる展示品が数多くあるのもこの企画のウリのようです。
そんなバカバカしい家電のメーカーが松下だったり、東芝だったりすることは興味深いです。高度成長期の新しい技術で、生活を便利にしよう、世の中をかえてやろうといった、当時の技術者の心意気が伝わってきます。
せっかく天満まで来たので、こちらに寄り道、天満酒場の隣です。ここのコロッケはかなりおいしい。