広電3000形で夕暮れの宇品港

久しぶりの広島、ワケあってこだま号です。

ひかりレールスター用の700系7000番台、指定席は2+2でグリーン車並のふかふかシート。でもコンセントも喫煙ルームも車内販売もなく、N700系と較べるとうらぶれた印象は拭えません。

岡山を過ぎてからと思っていた弁当をがまんできなくなって姫路で開きます。新大阪駅改札内で見つけた欧風軒の厚切りデミカツ弁当、期待通りで満足。ちなみに欧風軒は大阪駅前第4ビル地下の洋食屋さんで、ここの肉汁じゅわっ、のハンバーグはまじで美味いっす。

喫煙ルームはないものの、何度か長時間停車するので、駅の喫煙コーナーが使えます。轟音響かせ通過するのぞみ号を眺めながら新尾道でいっぷく。

三原駅でドクターイエローに初めての遭遇、ラッキー。運行情報を知っているらしく三脚構えてドクターイエロー撮り鉄している人がいたのですが、それだと幸運がつかめないのでは?

東広島駅に到着、他の駅と違ってたくさんの人たちが乗り込んできます。今日の目的地は山陽本線の西条なのですが、山陽本線は先の豪雨で瀬野八本松間、白市三原間が未だ不通のまま、白市三原間は代行バスもあるようですが、セノハチ区間は代行バスも無く、新幹線の東広島駅から西条へ代行バスが運行されていました。つまり西条から広島へは1時間に1本だけのこだま号が命綱になっています。

西条駅はしっかり営業中で、不通区間の狭間に取り残された227系が白市八本松間を30分間隔でピストン運転していました。9月9日よりいよいよセノハチ区間も開通するそうですが、まだ2週間あります。駅構内のセブンイレブンは短縮営業になっていたものの、隣のカフェは通常営業、いつもながらの商談風景もみられます。

賀茂鶴や白牡丹の酒蔵も普段と変わらない様子でおいしいお酒を仕込み中。

3000形で宇品へ

好感触でミーティングを終え、代行バスとこだま号で広島へ移動。

広島駅前に出るといきなり一番会いたかった3000形、検査出場したばかりのようでピッカピカです。3連接で後部に車掌さんが乗務。丸い帽子を被った背の高い若い車掌さん、長い肩紐の車掌カバンがとても似合ってます。30年前日本を駆け巡ったオリエント急行のダニエル車掌を思い出しました。

最後尾カブリツキをゲット、最新型の1000形LEXとすれ違います。乗車したのは比治山線経由の広島港行、このまま終点の広島港までたっぷりツリカケサウンドを楽しむことにします。

3000形3002A+C+Bは昭和38年製の元西鉄福岡市内電車1209A+1209B+1207Aで昭和51年に広電に移籍。つまり2連接車2編成をバラして3連接に改造されています。自分が広島にお世話になっていた頃は宮島線直通運用の殆どはこの3000形で、赤地に白い毛筆体で「宮島」と大書された行先幕は鮮明に覚えています。

すれ違った5100形Green Mover Maxはサンフレッチェのラッピンク、サンフレッチェもカープ同様に首位を快走中。このまま行くと野球とサッカーの広島ダブル優勝になりそうです。

皆実町六丁目で宇品線と合流、元京都市電1900形の広電1900形が続行してきました。元京都市電が付きつ離れず、後方カブリツキも萌える広電です。

元京都市電の女性運転士さんと目が合ってしまいいささか気恥ずかしいです。3000系3003A+C+Bはネットで賃貸のラッピング、水色のトラはチンタイガーというそうです。

海岸通停留場からはグリーンベルトになってます。すれ違ったのは元大阪市電1651形の750形、762号1両のみが今も現役、昭和15年製の大阪空襲被災車両だそうです。原爆の町を走る大阪空襲被災車両、正に歴史の語り部です。日がだいぶ傾いてきました。

西日を浴びた元京都市電同士がすれ違います。終点広島港に到着

90°カーブ上で広島港停留場入線待ちの3000形車内です。窓から先頭の3002Aが見えます。

3000形車内からGreen Mover Maxと元京都市電。90°カーブを曲がるとシーサスクロッシング。

広島港に到着、停留場ですが立派な駅です。元京都市電1901が先に折り返していきます。

続いて乗ってきた3000形が折り返していきます。曲線がきついので複線間隔がかなり広いです。

宮島線直通時代はベージュの部分はもっと薄い色だったような気がしますが今の方がカッコいいです。パンタグラフの骨組みの台枠にも惚れ惚れします。シングルアームパンタにでも取り替えた方がずっとメンテも楽なはずですが、複雑な構造のパンタを使い続けるところは、さすが広電です。

続いて5000形Green Moverが発車、90°左へ曲がってすぐにまた90°右へ曲がります。

夕暮れの海

広島港停留場のすぐ目の前に広島湾が広がっています。赤灯台の向こうの大きな三角錐は安芸富士、今回の豪雨で大きな被害を受けた似島にのしまです。白灯台の左手の小さな三角錐は無人島の峠島、いずれも広島市南区です。

赤灯台に見送られる小型船は、江田島の小用行高速船「和加」49総トン。右手遠くには宮島の弥山。

だいぶ日が傾いてしまいました。入港してきたのは江田島の北端、三高からのフェリー「入船」354総トン。

安芸富士をバックに夕日を浴びて行き交うフェリーと高速船。

追記:左は松山からのフェリー「石手川」699総トン、真ん中の小さいのは江田島の中町行高速船「ニュー千鳥」79総トン、右は入港したばかりの「入船」が三高へ折り返し。

桟橋の照明1本ずつにウミネコが止まっています。

C番線に元京都市電が回送幕でお休み中。B番線の3700形の前に5100形が到着、連接車2本が縦列停車できる長いホームです。B番線とC番線は紙屋町方面行、広島港旅客ターミナル側のA番線は比治山線経由と使い分けられています。

広電広島港停留所の全景、日本最大級の路面電車停留所かと。「広島港(宇品)」とカッコ書きされているように、平成13年までは「宇品」停留所でした。宇品、阿品、温品、と品の字がつくと広島っぽくで、港も宇品港と呼んだほうがしっくりきます。C番線の元京都市電の前に1000形が到着。

広島港宇品旅客ターミナルの中は冷房がよく効いていて心地いいです。飲食店や土産物店のテナントが10軒くらいあり、こういうところにありがちなシャッターの下りた店はありません。江田島各地、似島、宮島、呉/松山への航路があり、かなり運行本数があるものの、広島市内180円均一の広電とかと較べると、どの航路もかなり割高感があります。

会社帰りっぽい人たちがターミナルで出港を待っています。江田島から広島へ通勤する人が少なくないようです。それと呉線がまだ不通ということも影響しているのかも知れません。船と広電で通勤は羨ましいです。

外へ出ると灯台に灯りが点っていました。沖を行くのは「ダイハツ丸」3206総トン、自動車専用船としてはかなり小型なのは軽自動車専用だからでしょうか。

松山行の高速船「宮島」189総トンが出港。いつまでいても飽きない宇品港です。

広島と大阪の違い

C番線で休憩していた元京都市電「銀閣」が発車するところを慌てて乗り込み前方カブリツキをゲット、動画をどうぞ。ラッシュアワーになって続行運転の電車がどんどんやってきます。

乗車した電車は紙屋町経由の広島駅行、広電本社前で車庫から出庫してきた900形が前に入り込みました。元大阪市電2601形です。1日券を買っていたので急遽1900形から900形に乗り換え。

阪堺電車のモ351形に似た車内です。この後、広島の中心部でかなり混んできたのですが、優先席には誰も座りません。広島のマナーのようです。横川駅行だったので原爆ドーム前で下車。

原爆ドームの真上に輝く星、方角からして火星だと思います。

新大阪行最終のこだま号で帰ります。500系運用のはずがN700系7000番台に変更されていました。シートが豪華なだけでなくコンセントも喫煙ルームもあります。

座らずに入口付近に立ってる人たちがいっぱいいます。東広島への代替利用の人たちで、隣の自由席がいっぱいでこちらに溢れてきたようです。席はいっぱい空いているのに誰も座ろうとしません。さっきの広電車内の優先席もそうだったように、広島では社会のルールを守る気風が強いようです。これが大阪だったら「空いてるからかめへんやんか、車掌さん来るまで座ってよ」となるのは間違いありません。

東広島でごそっと下りて、自由席車を覗いてみるとガラガラ。福山で7分停車、N700系7000番台のトップナンバーに乗っていたことに気付きました。通過待ちは少なく、朝乗ったこだま号より22分も速いです。