ケン・フォレット 大聖堂
久しぶりの書評です。この数ヶ月、ずっとバッグの中にこの本が入っていて、その間殆ど他の本は読んでいませんでした。
600ページくらいのぶ厚いのが上、中、下とあります。読みたいと思う本が身近に無いと不安になってしまう自分なのですが、これだけあれば安心です。
12世紀のイギリスを舞台とする物語です。もてる技術や知識の集大成として大聖堂の建立に挑むトムとジャックの建築家親子(正確にはトムはジャックの義父)、清貧で高潔な修道院長フィリップ、伯爵の娘で凋落するも強い女性の生き方を貫くアリエナを中心に、とても様々な個性の持ち主が多数登場して飽きることがありません。
ヘンリー2世やカンタベリ大司教トマス・ベケット等歴史上実在の人物も多数登場します。
物語の雰囲気はドラクエの世界そのものです。ドラクエの音楽、例えばこういうのをBGMに流しながら読むと、かなりその世界に浸れるのではないかと思います。 教会の司祭や町の人たちはもちろん、王様、森に住む人とか、ゾンビのような森の無宿者、さらに「小ボス」よろしくウィリアム、「大ボス」よろしくウォールランというキャラクターも登場します。
中世イギリスの風俗も楽しめます。エールという飲み物が何度も登場します。原始的なビールのことのようです。強いエール、弱いエールというのがあって、弱いエールは子供も飲み、大人は強いエールを飲んで酔っ払っています。詳しくはWikipediaを参照。
来ている衣服は殆どがチュニックで、王様も農民も基本的には同じです。今チュニックというと裾の広がった女性用のトップスに限定されているようですが、歴史は相当古いもののようです。
名前でも勉強になります。後半の主人公、ジャック・ジャクスンの苗字のジャクスンはジャックの息子という意味です。そうマイケル・ジャクソンのご先祖もジャックという名前だったはず、ということに気づきます。
このあとまだ、続編の大聖堂-果てしなき世界というのがまた上、中、下、とあり、楽しみが続きます。