爆笑!エリート中国人
以前は毎月くらい中国へ通い、少なからず中国人(香港人を含む)の友人がいるのですが、最近の日中関係の変化はかなり気になるところです。
この本は中国人の夫を持ち、日中間のビジネスコンサルティングをする筆者の実体験に基づく中国人との付き合い方の指南書です。
本書で紹介されているたくさんのエピソードの中で、自分自身の実際の見聞に合致するものとしては、まず上海のパジャマ。あの大都会でちょっと裏通りのようなところに入ると、パジャマのままの女性がたくさん歩いていて、スーパーでもそのまま買い物をしているのには心底驚きました。おばちゃんだけじゃなくて、結構若い人もパジャマです。本書で、これは上海だけのことと初めて知りました。
それからナルシストが多いということ。訪問した複数のお宅で、写真館のようなところで撮ってきたと思われる、映画スター然とポーズを取った自分の写真をB全くらいのパネルに貼って部屋に飾っているのに度肝を抜かれた記憶があります。
ただ、紹介されているエピソードが一面的な捉え方で、問題の本質を語っていない著述になっている箇所が多いように感じます。
破竹の勢いで海外進出したデパートが、中国が好景気に沸く前に進出したものの撤退、経営破綻した理由というのがあって、どう考えてもこれはヤオハンと思われますが、従業員の万引きがその原因のひとつとして紹介されています。トラック単位での万引きとかハンパじゃなかったとあるのですが、それは万引きではなく単に従業員の犯罪なだけで、中国人の特性がヤオハン破綻の原因のひとつとして結びつけるためのエピソードにはならないはずです。
中国人に対して、見返りを期待してはいけません、100回ギブして1回テイクしてくれたらよしとしましょう、といった著述が多く、アマゾンの書評にもあるように、全体的に、積極的に泣き寝入りすることを勧める論調なのですが、これは違うんじゃないかと思います。
ギブアンドテイクの関係がなかったらビジネス自体成り立たないでしょう。
確かに自分の経験からも、一般的に中国人はお金に対するこだわりが強いとは思いますが、ギブばっかりしてもらおうと考えているだろうと思われる中国人に会った記憶はありません。
ビジネスコンサルティングの面でも、まず金を出して積極的にリスクを取れといった大企業の視点で、中小企業がそんなスタンスでビジネスをできるはずがなく、自分が事業主で中国進出を考えているとしても、この本は参考にならないと思います。
組織が肥大化して即断即決できない日本企業の批判もされているのですが、中国ビジネスを図るイマドキの日本企業への、中国との付き合い方の指南としては、論点がずれています。
本書にもあるように、中国の中でも、上海と北京、また遼寧省とかとは人の気質もかなり異なります。地域性だけでなく、個人差も大きいです。自分自身日本人としては、平均的日本人とはずれているという自覚もあります。
あるべきグローバルスタンダードを想定して、中国人のずれ方、日本人のずれ方があり、個々人と社会のずれ方、それをお互いどう調整するかということが必要だと思います。
ただ、このところ、一般的に中国のグローバルスタンダードからのずれ方が目立つようには思います。