動楽亭

米朝事務所が運営している動物園前の動楽亭に行ってきました。

場所はなんと、新世界のジャンジャン横丁の先、露天が並んだJRのガードをくぐった辺りです。

団朝さんがマクラで話してましたが、このガードから南は西成区になるそうです。つい先日もこの近所で、捜査員300人を動員、鉄扉を爆破して踏み込んだという大規模闇賭博場摘発の大捕物があったそうで、よくぞこんな場所で、という感じですが、それでも100人ほどの客席はほぼ満席です。長期的な落語ブームなんですね。

場所はちょっと探さなければわからないでしょう。ampmと同じビルの2階にあって、ampm裏手の階段を上がります。よくある小さな商業ビルのワンフロアを寄席にした感じで、基本的に全部桟敷ですが、後ろの方には椅子席も用意してくれています。

ちなみにこのampmでトイレを借りたら、遠隔操作でロックを外してくれました。西成のコンビニは違います。

ちょっと早めに行ったので、ゲットした席は最前列右端のかぶりつきです。

今日は桂そうば、桂まん我、桂あさ吉、桂雀々、桂団朝、桂塩鯛の出演です。桂そうばさん、神戸大学出身の秀才で、今日のネタはおなじみの「時うどん」、ちょっとこれまでに聞いたのと違って、兄貴分の真似を弟分がするのではなくて、他人のうどんの食べ方を影で見ていて真似をするという流れです。

声に張りがあって、うどんを食べる仕草も実に上手い。こっちもお腹が減ってきました。で、下げになって、おやじなんぼや、へい16文で、こまかいから手をだして、へい、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、ところでおやじ今何時や?、へい、たしかここのつで、…?

え?下げじゃなかったっけ?そう、取り返しの付かない着地失敗、一瞬新しいネタかと思ったほどです。

この次のまん我さんがこの「着地失敗」という言葉を教えてくれたのですが、これほど見事な着地失敗は珍しいと思われ、忘れられない一席になりました。桂そうばという名前は皆おもいっきり記憶に残ったはずで、これはこれで良かったのかも…がんばれ、そうばさん!

最高に気に入ったのは桂雀々さんの「ガマの油売り」、ガマの油売りといえば、筑波山ですが、上方落語では江州伊吹山になっていました。かぶりつきなので、まるで寅さんの口上を目の前で見ているような錯覚を覚えます。

雀々さん大汗かいての大熱演、まさに格闘技のようなド迫力落語です。

それとガマの油売りが酔っ払うまでの途中で、米朝、枝雀、ざこばの大御所連の酔っ払い方のモノマネを聞かせてくれます。上手い!

大トリの塩鯛さんは、子供の算数の宿題を手伝わされる新作。おもいっきりお腹が痛くなり涙が止まらなくなりました。「月のあかりの下に鶴と亀が集まってきました。頭を数えると全部で16、足を数えると全部で44ありました。鶴と亀はそれぞれ何匹ずついたのでしょうか?」そんなもん頭を数える間に鶴と亀の違いくらいわかるやろうが!

動楽亭、毎月1日から10日までやっているそうです。繁昌亭とはまた違って、落語をより身近に楽しませてくれる寄席です。

帰り道ジャンジャン横丁で一杯ひっかけたのは言うまでもありません。