アジサイ、金魚、モリアオガエル

あじさい寺へ行ってみることにしました。大昔、松戸市に住んでいた時、近所にあったあじさい寺の本土寺を訪ねて以来です。

近鉄郡山駅から奈良交通のバス、通常は1日4本だけの路線がアジサイの期間は大増発されています。バスが混んでいたら諦めようと思っていたのですが、バス停には30人くらいの列、諦めるほどでもないので乗り込み、コロナの時は封鎖されていた最前列左側をゲット。

ファミマのハムカツサンドをぱくつきながら発車、次は大職冠、「たいしょっかん」と読むようです。ほど近いところに大織冠鎌足神社があります。「職」の字が違っていますが、大職冠とは飛鳥時代最高位の冠位で藤原鎌足にのみ授与されたことから鎌足の尊称になったそうです。

富雄川を渡ると遠くに大和葛城山、去年の秋この辺をレンタサイクルで走りました。

終点矢田寺前に到着、バスから下りた人たちが皆、スマホで帰りのバスの時刻をメモってました。

バス停からさらに坂道が続いてます。なんであそこまでバスで運んでくれへんねん。

坂道を上り切るとここにも矢田寺前のバス停があるもののロープで囲まれ封鎖されていました。ふだんは小型バスで運行されているところ、アジサイの期間は大型バスで運行も坂の上のバス停では転回できないので、坂の麓に臨時バス停を設置していると分かりました。

やきたけのこやこんにゃく田楽の屋台も並ぶ参道、参道脇のお宅に見事なアジサイ。

矢田寺

あじさい寺こと矢田寺の山門に到着。ふだんは無料も、アジサイの期間は入山料700円。

山門をくぐると今度は石段がずーっと続いています。

さらに石段を上り、ようやく両側に塔頭寺院が並ぶ水平なところに出てきました。中央の奥が本堂。その向こうの山並みが矢田丘陵です。

本堂左手の閻魔堂の縁側に腰を下ろした上品なおばあさんが、集まった人たちにその云われとかを語っています。その上を見上げるとお堂の軒下の梁にミドリヒョウモン。

その奥に矢田寺八十八ヶ所へんろ道が続いています。仁和寺でも四国八十八ヶ所が再現されていて一番から八番、ショートカットして八十七番と歩いたことがあるのですが、ここ矢田寺は仁和寺のように祠はなくて石仏だけです。一番札所霊山寺の立て札を見て引き返します。全部まわると3.5kmだそうです。

南側の谷全体が回遊式アジサイ庭園になっていて、花のテラスから一望できるようになっています。約60種類1万株のアジサイだそうです。まだ咲きはじめですが、もう少し経つと谷がブルーやピンクに覆われることになりそうです。画面中央の白い花の木はヤマボウシ。

回遊式アジサイ庭園の前にアジサイ見本園をチェック。さまざまな種類のアジサイに名札が立てられていて回遊式アジサイ庭園に入る前に予習できるようになっています。

内側のつぼみが開いていないガクアジサイはまるで宝石そのもの。まだまだ色んな品種の見本が咲き誇っているのですが割愛。

さていよいよ回遊式アジサイ庭園を回ります。足元をせせらぎが流れています。一方通行ですが、ゆっくり歩きたい自分は何度も道を譲り先に行ってもらいます。

さっき花のテラスから見下ろしたヤマボウシを下から見上げると雪を被ったよう。

まだ咲きはじめなのですごく初々しさが漂うアジサイたちです。

まだ色づかないアジサイにシロホシテントウ。ナナホシテントウの半分くらい、体長5mm弱です。

何とも美しい蕾が開きかけたピンクのガクアジサイ。見本園で学習したはずですが、品種名は分かりません。

花キューピッドのアジサイのページによると「土を酸性にすれば青色のあじさいが、中性~アルカリ性にすれば薄紅色やピンク色のあじさいが育つ」そうです。

ガクが外側に向かって開いた白いガクアジサイ。

誰も来ないせせらぎの向こう側、よだれかけも架けられていない忘れられたようなお地蔵さんたち。

回遊式アジサイ庭園を出て帰りかけると石垣にニホントカゲ。

長い石段の上からの眺めは圧巻、入山料700円の価値は十二分にあったと思います。

ベニシジミをアップで。参道に眺めのいいトルコ料理店、帰ってからGoogle Mapをチェックしてみるとなかなか美味しそうです。このあとランチにえらく苦労することになったので、ここで食べておけばよかったです。

ヒメジョオンに止まった別のベニシジミを上から。バスを待つ間周囲の田んぼを歩くつもりだったのが、バス停に着くとちょうど出発時刻でした。

金魚ストリート

居心地の良かった記憶のある近鉄郡山駅前の喫茶店は日曜で定休日。金魚ストリートには以前にもアップしたパロディ看板。

ランチはまだですが中西酒造醸造所でいっぱい引っ掛けていくことにしました。営業開始10分前だったけどお店の人がやってきて入れてもらえました。もうひとりお店の前で待っていた男性は酒造り体験醸造に参加のため千葉からやって来られたそうです。

中谷酒造の金魚です。前回より金魚が少なくなっているのがちょっと気になりますが赤いおでこの子は元気です。

仏壇やさん店頭に球形の大きな水槽、中には奇妙な金魚、その下にわかりやすい説明も。

真ん中にいるほっぺたが膨らんだ上を見上げているのがスイホウガン、左下の極端な出目金はチョウテンガンのようです。

スイホウガンがこっちに来てくれました。膨らんでいるのはほっぺたではなく下まぶたで、中にはリンパ液が入っているそうです。

金魚の灰皿で一服よりもお腹がすきました。お店を探してウロウロ。ここでいいかと入ったお店、カウンターは1席を残して満席、テーブル席はガラガラ、こちらへどうぞと案内されたのは狭いスペースに隣の人の荷物が置かれたカウンターの残り1席、もうええわ、と帰りかけたら、こちらへどうぞと改めてテーブル席に案内するらしい声が聞こえたものの振り返らずに出てきました。

郡山でランチは諦めて奈良に向かうことにしたらちょうど電車が発車するところ、さっきのバスのようにはもう間に合いません。時刻表をみると次は21分も先、お腹が減ってイライラが募ってきました。漸く乗車した電車から垂仁天皇陵、木の上の白い点々は全部サギ、たぶんダイサギです。

瑜伽山園地

東向商店街のとんかつがんこはもう2時前なのにまだ店頭に大勢の順番を待つ人たち、中谷堂の前はものすごい人だかりで餅つきの様子も見えないくらい、餅飯殿を抜けて、お好み焼き「団」の暖簾をくぐるとここも満席、もうがまんできず適当に入ったお店のとんかつでお腹を膨らませようやく落ち着きました。

瑜伽山(ゆうがやま)園地へ向かいます。歩いたことのない奈良ホテルバス停裏から分岐した小径に入ると全く存在も知らなかった瑜伽神社。瑜伽(ゆうが)とは呼吸と精神の合一をはかる「ヨガ」の語源だそうです。鳥居の先に伸びる石段を見てまたの機会にします。

誰もいない狭い坂道、坂の先が石段に続いています。

石段を上ると天神社、こんなところに天神さんがあるとも全く知りませんでした。右手の斜面はちびっこ広場、今はいませんが鹿たちも来るはず。

鷺池南側の瑜伽山園地に到着、なかなか読めない漢字ですが、ヨガ山と覚えることにします。

2年前に来た時は庭園として未成熟な印象が残り、10年したら再訪するつもりだったのが、早々にやってきたのは吉城園と瑜伽山園地を管理する関西緑地サービスさんのブログで瑜伽山園地にもモリアオガエルがという投稿を読んだからです。まだ造成されて新しい庭園、ここに池があったかの記憶も曖昧だったのですが、ありました。

モミジにモリアオガエルの卵塊、足元にも卵塊。時々ゲロゲロとカエルの鳴き声が池の回り数カ所から聞こえてきます。

近くにいた関西緑地サービスの庭師さんと思われる人に訊ねてみたのですが間違いなさそうです。スマホを取り出し、吉城園のモリアオガエルの写真を見せてくれました。交尾中のモリアオガエルから泡のような卵塊がブクブクと湧き出している、かなり貴重と思われるシーンも。

なぜ造成されたばかりのお庭にいるのか不思議で訊ねてみると、池自体はかなり古いもので、昔から棲みついていたと分かりました。

しばらく待っていると大合唱がはじまりました。5匹くらいいそうです。でも姿は見えません。探すのは諦めて合唱を楽しみます。

吉城園

吉城園へ向かいます。奈良公園はバンビちゃんたちの季節です。

この前、カワセミに会った池のほとりに「鴎外の門」と彫られた歌碑があることに気づきました。

猿の来し官舎の裏の大杉は折れて迹なし常なき世なり

帝室博物館総長だった鴎外が大正7年から10年まで毎年秋になると、ここにあった官舎で暮らしていたそうです。歌碑には歌の意味が紹介されていないのですが、台風が奈良公園にやってきた後の様子を歌ったようです。鹿ではなく猿なのは、平常とは異なる事態を強調したかったためでしょうね。帰ってから歌碑の脇に官舎の木戸の門が残されていると分かったですが、カワセミを探していて全然気づきませんでした。

吉城園の正面から入るには行き過ぎていることに気づき、氷室神社を抜けて裏木戸から吉城園に入ります。ノムラモミジがまだまだ鮮やか。

茶花の庭の片隅のアジサイ、このアジサイが11月に咲いているのを見たことがあります。

同じ株からブルーの花と、白に紫ミックスの花、不思議です。

キンシバイの花の中の5つの束になっているおしべの内、2つの束が抜けています。小鳥のいたずらかな。

コミスジかホシミスジかがふわふわ舞っていたのがやっと葉っぱに止まってくれたものの、この角度からではコミスジかホシミスジかは分かりません。

純白のガクアジサイ。

濃淡ブルーのガクアジサイ、甲乙つけがたく美しい。

茶室裏の小さな池のモリアオガエルの卵塊。5つくらいの卵塊があって、中には池に落ちたものも。

卵塊は瑜伽山より多いものの、鳴き声は全く聞こえてきません。オタマジャクシの姿も見えませんでした。