伊勢湾の鳥たち

ちょっと遠出したくなり伊勢湾へ、去年の夏以来です。白塚海岸か千里湿地か悩んで、まずは前回パスしてしまった鈴鹿川派川河口へ向かうことにします。ストリートビューで河口へ出る堤防の階段付近をバーダーさんが歩いているのを見つけたのが決め手です。

始発のひのとりに乗るつもりだったのが乗り遅れて次の名古屋行特急、やってきたのは初乗りのアーバンライナーnextでテンション上がったものの、車内はアーバンライナーplusと大きく違わないです。

津までの特急券を買ったものの、鈴鹿川派川河口最寄りの楠駅は白子のまだ先、ひのとりと違ってアーバンライナーなので白子に停まることに気づき、通りかかった車掌さんに相談すると、津も白子も料金は同じなのでそのまま乗ってください、車掌さんにも伝えておきます、という妙な回答。自分が車掌さんちゃうん、と突っ込みたくなりましたが、津で交代する名古屋線の車掌さんに伝えておきます、という意味のようです。

名張を過ぎて美旗駅付近で低い丘より下に層雲がたなびいていました。伊賀神戸は霧の中。

石橋駅をすぎると雲出川の潜水橋、一気に晴れ渡りました。

plusと違ってアーバンライナーnextは窓框がスラントしています。物が置けないとクレームが少なくなかった思われ、後付で窓框にドリンクホルダー。130km/hで爆走するとひのとりと違ってよく揺れます。

白子に到着、アーバンライナーnextを見送ります。向こうはアーバンライナーplus。

大きなパンタを掲げた1000系普通で楠に到着。

楠駅です。ドピーカンの快晴。駅の向こうの煙突は銭湯ではなく紡績工場です。

だだっ広い駅前広場を囲んで居酒屋さんだけが3軒。

鈴鹿川派川左岸河口

鈴鹿川本流と鈴鹿川派川に囲まれた三角州とその南側が元楠町、平成の大合併で四日市市に編入されています。

20分ほど歩いて鈴鹿川派川河口に到着、上述ストリートビューの堤防を超える階段を上ったところです。

100mほど先の中洲にシギチ、シロチドリとイソシギとよく分からないもう1種類は渡りそびれたキアシシギかな?

鈴鹿川派川右岸河口から伸びる堤防を進んでみます。

あまり先へ進んでもシギチがいるわけもないので、引き返します。河口に蓋をするように広がった砂州に釣り人。左岸へ回るには男里川の倍くらい歩かなければならないので諦めます。

25mくらい向こうのヨシ原にオオジュリン発見。

10mほど先、テトラポッドにカワセミ。こんな河口までやってくるとはビックリ。

朝日に輝くカワセミ君。キミに会いに来たつもりはないんだけど、でも会えて嬉しい。さらに海の方向へダイブ、イソヒヨドリ同様にたくましくなって生息域を広げているようです。いずれ男里川河口でも会えるのかも。

川面にカイツブリのファミリー。河川敷は殆ど整備されておらず、堤防の外を駅へ戻ります。

堤防の外もまだ整備中で遠回りしていることに気づき、最後は駆け足で1時間に2本しかない電車になんとか間に合いました。北へ向かうか南へ向かうか迷ったものの、津新町行で南へ戻ります。まだ10時になっていません。

伊勢若松で4分、白子で7分待避して、千里駅で下車。駅前はタバコ屋さんと自転車預かり所だけ。

コミュニティバスの時刻表は平日と土日祝かと思いきや月曜、土曜と水曜だけの運行。高齢者の通院利用が殆どではないかと思われるのものの、火木金は使えません。タクシークーポンとか配布した方がずっと効率的かと。

千里湿地、芦原海岸

田中川に沿って10分歩くと湿地、そして海岸へ出られます。楠や白塚より海に近い千里駅です。

千里湿地です。内側の池にカンムリカイツブリかと撮ってみたらミコアイサ♀。

インドネシアかマレーシアの人と思われるヒジャブを被った若い女性たちが通り過ぎ、元気な声で「こんにちは!」とあいさつしてくれました。「おはようございます!」

千里湿地のクリークの向こうに点々と鳥の大群が。この先の道が工事中で閉鎖されていたものの、ヒジャブの女性たちの後をついて行くと工事中の柵の脇から海辺に出ることができました。

鳥たちがどんどん海面に下りてきます。軽く千羽は越えそうです。カモとは分かるものの何ガモかはまだ分かりません。

浜辺から100m以上も沖に点々と浮かんでます。全部同じ種類の黒いカモでお腹は白いのが分かるものの、冠羽が無いのでキンクロハジロではないです。

大阪湾では見たことのない風景、伊勢湾の生態系の豊かさを実感させられます。

砂浜に鳥の足跡が続いています。足跡の主にしては小さいもののシロチドリが水際を歩いていました。

大柄なカモメが海をじっと見つめています。セグロカモメです。

そーっと近づいたつもりが、飛び立つのではなく海に逃げられました。なかなか頭がいいです。

シロチドリが集まっていました。いつものように、ぼんさんが屁をこいた、で少しずつ近づきます。

あと5mほど、これくらいで止めておきます。片足上げてお休み中ですが、両足出すのがめんどくさいようで、ケンケンで移動してました。ちなみにシロチドリは三重県の県鳥です。

人や犬の足跡の上に鳥の足跡がいっぱい。シロチドリのものっぽいです。

沖のカモたちを目一杯ズームしてみました。くちばしが黒く、くちばしと目の間が白いカモが混じってます。さんざん調べて漸くスズガモ♀と分かりました。つまり約千羽のスズガモです。川や池には来ない海のカモです。

広〜い芦原海岸、自分の他、ヒジャブの女性たちだけです。

ミサゴです。目視でもミサゴと確認できるのですが、カメラにファインダーがないので上手く捉えられません。

海も砂浜も美しい。ヒジャブの女性が砂浜に書いた文字、HAMBA ALLAHとあります。調べてみるとインドネシア語もしくはマレー語で「アッラーの僕」という意味のようです。

たぶんこの辺りの工場に勤める技能研修生の人たちかと。コロナで2年も家族にも会えずにいるはず。砂に描かれた文字に彼女たちの思いがぎっしり詰め込められているのが伝わってきます。彼女たちが同世代の日本人のことをどう思っているか、考え込んでしまいました。

大柄な海浜植物が鈴なりの花、かなり調べてみたものの不明です。さほど美しくはないものの気になります。

期待していたミユビシギには会えなかったけど、満足して湿地を振り返りながら次の場所へ向います。すれ違ったおばあさんから「お魚釣れました?」と声をかけられました。釣り竿じゃなくてカメラを首からかけているのに。「魚じゃなくて鳥です、シロチドリはいました。」「カワなんとかはいましたか?」「カワセミならここに来る前、鈴鹿川の方にいました」。何か噛み合わない会話が記憶に残ります。

田中川の橋の欄干にお腹がオレンジ色のセキレイ。キセキレイじゃなくて、どうみてもハクセキレイです。

この項続く