吉城園とならまち

庭園を見たくなって吉城園へ。奈良行急行の車内でお腹がへってきたので、駅ナカの二条庵で中華そばを食べて行こうと西大寺で途中下車したら、二条庵がファミマになってしまってました。ググってみると去年9月に閉店、今春リニューアルオープンとあったのですが、1番線側に場所を変え屋号も変わってしまうようです。二条庵のワカメがたっぷりの中華そばもう一枚)がそのまま継承されるか心配です。

京市交10系で終点奈良へ向かいます。やむを得ずチェーン店カフェでホットドッグを流し込んで、東向商店街から興福寺へ抜ける坂道を上ると鹿たちが出迎えてくれました。

吉城園

主屋の縁側に腰掛けて、若草山を借景にしたお庭をぼーっと眺めます。池の周りにたくさん咲いてる白い花はアセビです。

ツバキとスギゴケ。

アセビをアップで。ピンクのアセビはアケボノアセビというそうです。

この春、僕はまえから一種の憧れをもっていた馬酔木の花を大和路のいたるところで見ることができた。

現国の教科書で有名な堀辰雄「浄瑠璃寺の春」の冒頭です。自分も漸く見ることができました。それも大和路でたくさん。馬が葉を食べると酔ってしまう木、という話を担任のY先生が教えてくれたことが記憶に残っています。

茅葺きの茶室の軒下にジャック・オー・ランタンみたいな灯りがぶら下がっています。

スタッフさんが苔の手入れ最中、スギゴケの美しさにその行き届いた作業の結果がでています。ググってみると奈良県の職員さんではなく関西緑地サービスという会社が請け負っていると分かりました。ブログも配信されていて、先週来ていたら休園で入れなかったようでラッキーです。

これも名前は知っていても初めて見た沈丁花の花です。英語ではDaphne、ギリシャ神話の女神です。

庭園一番奥の「茶花の庭」までやってきました。ずいぶん背の高いツバキです。

いつも集団行動のエナガが1羽だけ。この角度からだと確かに尾長じゃなくて柄長です。

ヤマガラが小枝に留まって木の実を割っているようです。

ふだんだいたい単独行動のヤマガラは今日も単独。

地面にはラッパスイセン。東屋に腰を下ろすと正面に鈴なりの朱色の花、名札が刺してあるものの読み取れません。

反対側に廻ってみると「ボケ」っと読み取れる名札。ボケーッと生きてんじゃねーよ!は「呆け」、このボケは「木瓜」です。

テングチョウとヤマトシジミ。

斑入りのツバキが美しいものの、茶花としては艶やか過ぎるかも。黄色い花は近くにシュウメイギクの名札があったもののヒメリュウキンカだと思います。

今の時期にこれだけのスギゴケはやはり丹精込めた手入れの成果かと。

いかにも奈良な横断歩道を渡ってならまちへ向かいます。荒池越しの興福寺です。

奈良ホテル南側の旧大乗院庭園に入ってみました。「かつて南都随一の庭園」とのキャッチフレーズに惹かれたのですが、ゴルフ場みたく池の周りに芝生が広がるばかりで、池のカイツブリを撮っただけ。

ならまち

Google Mapに「行ってみたい」マークを付けておいた2軒のどちらかでランチと目論んでいたのですが、1軒は店頭に長い列、もう1軒に入ったもののイマイチで軽く済ませました。食べたりないので近鉄奈良駅周辺で一杯ひっかけて、とお店を探してみたものの、まだ時間が早すぎるようです。

でも帰るのも早すぎ、ウロチョロしている内に、他にも「行ってみたい」マーカーを付けた場所を思い出しました。

近鉄奈良駅から真っ直ぐ南へ1kmほどのところにあるならまち糞虫館、つまりフンコロガシ専門の博物館です。路地を入った奥の右手の古ぼけた昔のアパートのような建物がそれですが、外観からはとても想像できない清潔感120%の展示室でした。

奈良公園でオオセンチコガネが見られるのは4月以降で、今の時期はグレーのボールにのった体長5mmくらいのマグソコガネであれば見つかるそうです。大小のボールは鹿のフンをモチーフにした展示台です。

赤紫や緑、瑠璃色と地域によりオオセンチコガネの色が異なります。瑠璃色の俗称「ルリセンチコガネ」は奈良にだけ生息、去年の夏、自分が出会った時の記録です。やはり瑠璃色が一番美しいかと。

世界最大から世界最小まで膨大なフンコロガシの標本が展示されています。欲を言えば、生体がフンを転がすところを観察できればさらに嬉しいところです。

館長さんは「となりの人間国宝さん」に認定されていました。「ちちんぷいぷい」でも紹介されていて録画が流されていました。

糞虫館からほど近い奈良町からくりおもちゃ館です。江戸時代のおもちゃを復元して展示、ホームページによると200点ほど所蔵があるようですが、30点くらいが座卓に並べられ、実際に触って試すことができるようになっています。建物は120年前のものの由。

きこりが体全体を大きく動かして木を切ります。

お面を付けたりはずしたり。

スタッフさんがひとつずつ丁寧に遊び方を教えてくれます。動画の後半に出てくる釣り竿のおもちゃは「アタリ」を体感できるようになってます。

ちょっとめんどうになってひとつ飛ばしてしまったら、これ飛ばしてますよ、と引き戻されて動作を確認しているところをスタッフさんが撮ってくれました。

中庭の枝ぶりの見事な紅梅にヒヨドリ。

格子窓のお宅が並んでいます。からくりおもちゃ館同様100年以上の建物かと。ならまちというと古民家を改造したカフェやクラフトショップが並ぶばかり、と思っていたのですが、歩くだけでもかなり色んな発見があります。

自分と同姓の奥医院、子供の頃のかかりつけ、首から聴診器を掛けたI医院の老先生を思い起こさせるような雰囲気です。

これまた子供の頃の記憶を蘇らせるような椿井市場、買い物かごを持って近所の公設市場へおつかいに行った時の記憶です。スーパーマーケットという業態が普及する以前、八百屋さん、魚屋さん、乾物屋さん、肉屋さん、お菓子屋さん等が個々に出店、地域の食を支えていたのが公設市場でした。ググってみると椿井市場には今も営業中のお店があるようです。

大きな木造家屋は創業天正5年(1577年)の製墨店の古梅園、建物は登録有形文化財です。奈良県産の墨は全国シェア90%以上とは知りませんでした。奈良漬けと柿の葉寿司だけじゃなかったです。

木造建築だけじゃなくて、モルタル壁の建物も趣があります。ならまちの範囲は広く、北は近鉄奈良駅、南は京終駅近く、西はJR奈良駅、東は奈良教育大辺りまでカバーしています。まだまだ色んな発見がありそうです。