干潮の有明海

始発の空港急行に乗るべく未明の千日前通を歩いていると、マッサージいかがですかといういかがわしい声、こっちは急ぎ足で歩いていて、そういう風情には見えないはずで、客引きのお姉さんたちも、もう少し人を見る目を養わないと、とか考えつつ余裕で関空到着。

明石海峡辺りまでは晴れ間が少しあったものの、西へ向かうにつれ雲が厚くなり福岡は小雨、9月から就航したばかりのJALの最新鋭A350がいました。

バスが来るまで雨宿り、スタバでバナナを売ってるとは知りませんでした。何かお腹に入れておいたほうがいいですよね、と答えてくれたスタバのお姉さんが可愛かったです。

急行バス(西鉄バス)は都市高速経由、阪神高速経由の大阪シティバスや首都高経由の都バスとかも、あっていいと思う。60km/h厳守で走ってましたが、それでも速い。

所用を済ませて博多へ戻ります。813系6連の二日市行普通、車内はほぼJR西日本223系やJR東海の313系と同じ3ドア転換クロスシートも赤い豹柄。

西鉄最新型の9000系がいました。5000系や6000系をそのままステンレス車にしたような、おでこがやたらと広い変な形状、赤い塗装はロイヤルレッドという色だそうで、5000系や6000系の帯色のボンレッドとも別の色のようですが、近鉄マルーンに近い感じです。

9000系に続いて3番線に入線の3000系特急で大牟田へ向かいます。下ぶくれのぽっちゃり顔が魅力的。

先頭車最前列右側のクロスシートをゲット、シート前にドアスペースがあり、運転室後ろの窓桟が気になるものの運転手さんのバッグは床に置かれているので、座ったままでもかぶりつきができます。3000系福岡(天神)行特急とすれ違い、左手に筑紫車両基地が見えます。

中島信号所で7000系2連甘木行と交換、この先の勾配を上った矢部川を渡る直前の築堤上に中島駅があるのですが、築堤上に交換設備を設置できないので、ここに信号所があるワケです。

赤い3000系「水都」とすれ違い。大牟田に到着です。

路面電車が西口駅前に展示されていました。車内にも入れます。昭和27年まで新栄町辺りから熊本県との県境付近まで走っていた西鉄大牟田市内線200形が里帰りしたそうです。市内電車が走るほど炭鉱の街、大牟田は賑わっていたワケです。

雨は上がったのでレンタサイクルを借ります。西鉄の直営で大牟田駅の駅長室で手続き、電動アシスト付小径のオシャレなのをゲット、西鉄のスタッフの人たちの接客がとてもいい感じです。

三井化学専用線

三井化学専用線(三井三池鉄道)宮浦操車場です。右端はクロコダイル型45tの18号機、ヤード中央に20tの11号機、その左手の朽ちかけた木造二階建ては事務所です。動き出す気配はなく、ヤードの向こう側にある車庫の方へ回ってみると3年前のまま45t機と20t機2両の休車機が放置されています。雨ざらしで3年前と比べ色褪せてしまっています。

フェンスの上にカメラをかざして11号機、フェンスの金網から18号機。係の人らしき2人が車でやってきたものの、依然動く気配はありません。

操車場から線路は右へ分岐して工場内へ入り込んでいます。この区間の担当が20t機です。手前の線路は鹿児島本線と繋がっていて、ガーター橋を渡ります。こっちは45t機の担当です。

線路は川沿いに新栄町の方へと延びていて、ホテルニューガイア前には警手小屋もある踏切。線路は新栄町駅を通り過ぎた辺りで鹿児島本線と並行してその先にもうひとつの操車場、仮屋川操車場へと続いています。仮屋川操車場で鹿児島本線へとタンク車が引き渡されるようになっています。

周囲をなんども回ったのですが、今日は走行シーンを見ることができませんでした。自分が帰った後に走っていたのかもしれません。川沿いを走り、踏切を渡るクロコダイル機を想像するだけです。夜中に機関車たちのパレードを見ることまでできた前回があまりにもラッキーだったと漸く気づきました。

このホテルニューガイア前の踏切辺りが大牟田市内線の起点だったようです。ひょっとしたら三井三池鉄道と平面交差していたのかも、と調べてみたものの不明です。ただ当時はこんな広い道路じゃなくて市内線も単線だったようです。

レンタサイクルを返却してさらに南へ向かいます。市内線の電車が走り賑わっていたはずのJR側の東口駅前も今や寂しい限りですが、大牟田駅には立ち食いそばが営業中。やってきたのは817系2連の八代行。

干潮のトラクター

大牟田からふたつめの南荒尾で下車、もう熊本県です。

駅の出口は東側にしかないので、ぐるっと踏切があるところまで回り込んで有明海に出ます。3年前に来た時の満潮時のほぼ同じ場所の写真とぜひ見比べてください。潮位差は6mくらいあります。

浜辺にきれいな5cmくらいの巻き貝、拾って帰ろうかと思ったらいくらでもころがっているので止めました。

干潟をトボトボと歩いているのはたぶんキアシシギ。堤防内側の船溜まりの船も全て泥の上、スクリューを付けたまま放置していると大変なことになるところです。

船溜まりの泥の上にもキアシシギ。芝生の上に立つのは8月にオープンしたばかりの荒尾干潟水鳥湿地センター、残念ながら月曜休館でした。

鹿児島本線の架線柱にカササギ。国内ではほぼ有明海周辺でしか見られないカラスの1種で、鏡に写った姿が自分であることも認識できる頭のいいヤツです。

浜辺に戻ると雲仙普賢岳が姿を現していました。干潟の沖の方にジープのようなものが走っています。

ジープのようや車が浜辺のスロープを上がってきました。トラクターを改造したもののようです。自分の前を通りすぎ、会釈すると素敵な会釈を返してくれました。トラクターは少し北の方からまた沖へ向かっていきました。

どんどん沖へ向かって行きます。1kmはありそうな、はるか沖合で先に来ていた人たちが何か作業をしています。何の漁でしょうか。とても気になるのですが周りに誰もいないので確かめようがありません。

海底湧水

さっきトラクターが上ってきたスロープのところに移動すると轍がずーっと沖まで続いています。トビハゼがいました。1〜2cmくらいの幼魚のようです。

ヤドカリもたくさん。変な貝をかぶったヤツも。

トビハゼ動画、小さいけどかなり長い距離をジャンプしています。水たまりをさらに小さな稚魚が泳いでいます。

ところどころで水が盛り上がっています。どう見ても湧水、海底湧水です。ほんとに海底湧水かどうかさんざんググったのですが、このPDFを見る限りやはり間違いないかと思います。

海底湧水も動画で。舐めてみると少ししょっぱいものの普通の海水ほどしょっぱくないです。

正面の山並みは多良山系、中腹に沿って雲が棚引いています。左手には雲仙普賢岳。

沖から戻ってきたオジサンたちに、何を採っているんですか、と訊いてみました。採っているんじゃなくて、海苔の養殖の竿を立てているそうです。もひとつ一番気になっていることを訊いてみました。先週の大雨で流出した油は流れて来なかったけど、流木やゴミは流れてきている、とのことでした。

9月末頃にはその竿がびっしり並んで壮観、夕日を撮りに来るカメラマンが福岡辺りからもやってくるとの由、自分大阪からなんです、言いたくなったけど止めておきました。

有明海の夕日

だいぶ日が落ちてきて多良山系の上の雲に隠れると太陽の色が変わりました。いつの間にか岸壁には数人のカメラマン。

太陽が雲の下から再び姿を現し大きく輝きました。

金色に輝く干潟、太陽の位置が少し下がるだけで微妙に光り方が変化します。

沈んでしまいました。今夜の宿、柳川へ向かいます。

南荒尾駅、荒尾干潟駅とサブタイトルが付いてます。駅名標の背景は今見てきたばかりの有明海の夕日。

817系2連の鳥羽行、車内は木の背もたれに革のクッションが付いた転換クロスシート、概ね鳥栖より南は817系、北側は813系と使い分けられているようです。

大牟田に戻ってきました。きれいな三日月、ちょうど三池炭鉱の真上辺りです。月が〜でたでた〜、月が〜でた、あ、よいよい♪

ラッシュ時の西鉄特急はロングシート車になって、クロスシートの3000系が普通になります。

柳川に到着、駅前の仕出し屋さんに惹かれ入ってみました。椅子とテーブルが並んだ大きな座敷を独り占め、頼んだ籠膳が予想を遥かに超える直径50cmくらいでビックリ。