海辺の熊野古道

381系のくろしおが現役だった頃、車窓から間近に見えた千里の浜へ行ってみます。223系紀州路快速、225系御坊行普通、113系中間車改造2連の紀伊田辺行普通と乗り継ぎます。

天王寺から約3時間、1時間に1本程度あるので18きっぷで手ごろ。ちなみに18きっぷで大阪から日帰りで紀伊半島一周も可能ですが、そこまでの乗り鉄根性は持ち合わせていないです。

切目を過ぎると太平洋が車窓に広がります。鉄道より海側に道はなく、この付近では浜辺に出る方法もなさそうです。日差しはあるものの、うす曇りで前回来た時の秋の海のようなきらめきはありません。

車窓からみた千里の浜、岩代駅からアプローチすると食事にありつけそうにないので、南部駅からアプローチすることにします。南部駅前に本家かまどやがあって幕の内弁当をゲット。

南部川の河口で弁当を広げます。あの半島の向こう側が目的地の千里の浜です。海沿いに行くことは明らかに不可能、千里王子への道標を頼りに峠の向こうを目指します。南部は元々三鍋だったようです。

さすが日本一の梅干し産地のみなべ町、どこもかしこも梅林だらけ。梅の花の季節は過ぎたばかりで、まだ綺麗に咲いている花も少なくありません。

日配食品のバイヤーをやっていた時に南部の梅干しメーカーさんへ伺ったことがあり、それ以来約30年ぶりの南部です。

梅の他、絹さやも特産品のようです。

憧れの農業用モノレール、乗ってみたい。

千里の浜にたどり着きました。向こうの海辺を113系改2連がトコトコ走ってます。実はこの浜が熊野古道の一部で、熊野古道で唯一の海辺の道だそうですが、世界遺産のエリアからは外れています。

引き潮で水のきれいな磯だまりがいっぱいできているものの、磯遊びはハズレ。

何かの稚魚がいるばかりです。向こうの海辺は289系くろしお。

浜の中ほどの小さな磯にウミネコが一羽、物思いげにじっと海を眺めています。浜に続く自分の足跡、5月頃になるとアカウミガメが産卵にやって来るそうですが、かなり厳しく保護されていてアカウミガメに会うことは容易ではなさそうです。

千里の浜の北端に千里観音と千里王子が並んでいます。千里観音の参道に33体の石仏が並んでいます。その14番の千手観音と、11番の三面観音、なぜか十字架を掲げているように見えます。

砂浜の石垣の上で防風林に囲まれた千里王子。

113系と283系。岩代の方まで浜伝いが熊野古道ですが、ガイドマップでも通行不可と明記されています。

千里王子のちょっと西側にガイドマップにも載っているガードがあるのですが、そこまでの道がなくて、砂丘を駆け上ります。

ガードから見た千里の浜です。

ガードの向こうは獣道みたいな道だったり、農道みたいな道だったり、梅林の中の道だったり、ガイドマップでもかなり詳しく説明があって、道標も頻繁に立てられているものの、それでも迷いました。スマホのGPSで何度も確認しながらの峠越えです。

エナガとメジロの混群登場もまともに撮れず。

峠を越えると道標の向こうに海が広がります。通行不可の海辺の熊野古道の上を113系が上って行きます。この時間はほぼ干潮のピークなので、浜伝いに歩いて行けそうですが、潮が満ちてくると逃げ場がなさそうです。古の旅人たちは、潮を見て歩いていたんだと思います。今よりずっと自己責任の時代だったわけですが、海が荒れたらどうにもなりません。道標を頼りに、細くて急な山道であってもそれなりに整備された熊野古道を安全に歩けるのはありがたいことです。

岩代駅にたどり着きました。何故か桜が満開です。テングサの歌という谷山浩子の歌で知られた駅だそうです。

いつもの歩行限界7kmを超える山道や砂浜を歩いてきてヘロヘロ、駅のベンチにへたり込んでしまいました。駅にも駅前にも人っ子一人いません。いるのはツグミだけ。

駅のすぐ反対側は浜辺のはずですが、浜へでるには駅東側の踏切まで500mくらい戻ることになりそうなので諦めます。ずっと道標で追いかけてきた、岩代王子もまだ少し先のようで、これも諦めます。

次の御坊行まで10分程になって、駅の跨線橋に上がってみると、駅のすぐ西側に小さな踏切があることに気づきました。諦めるのを止めて行ってみます。

小さな踏切を越えると浜辺が広がりその脇に岩代王子がありました。千里王子よりずっと規模が小さく社というより祠です。

岩代の浜で出迎えてくれたのはカワラヒワ。

だいぶ日が沈んできました。実際にはこれほど暗くはないのですが、カメラはこう捉えました。岩代王子脇の小さな踏切を、乗るつもりだった16:53の御坊行が行ってしまいました。

遥か沖、3本マストの船、ググってみたらすぐわかりました。みらいへという人材育成の研修のための船です。289系のくろしおがへばりつく様に崖を登って行きます。

砂浜に腰を下ろして夕日を眺めていたら聞き覚えのある鳴き声、コチドリです。

イソシギとセグロセキレイも。野鳥たちに元気をもらって日が海に沈むまで見届けることにします。

さざなみに映える夕日に見惚れてしまいました。

夕日と特急くろしお。でもやはり薄雲が厚く夕日は水平線に沈む前に見えなくなってしまいました。

夕日が沈むまでずっとつきあってくれたコチドリです。

結局17:36の御坊行も見送って、日没後の18:32の御坊行に乗車、御坊到着前に先行の特急が野生動物に衝突したらしく抑止。鹿なのかイノシシなのかわかりませんが、この普通列車が後片付けまでやらされて30分遅れで御坊到着。

和歌山で途中下車、第三日曜日なので営業している駅前の酒一で一杯。〆は和歌山ラーメン、9時半を回っているのに10人くらい並んでました。