暗峠のウグイス

近鉄奈良線は瓢箪山駅を出ると左へ急カーブ、石切駅にかけて、生駒山の麓を急勾配で登っていきます。この付近の大阪を俯瞰する車窓は絶景で、日本中でも5本の指に入る車窓だと思います。

一方東側は生駒の山並みがすぐ間近まで近づいてきて、こちらも見逃せません。車窓からではなく、電車を下りて歩いてみたくなりました。

あまり良く考えていなかったのですが、とりあえず枚岡公園を目指してみることにして、枚岡駅で下車しました。

枚岡駅、勾配上のカーブした駅です。「ホームとドアの間が空いているので、下りる方は足元にご注意ください。」

もう間近に山が迫ってきています。やっぱシリーズ21はカッコいい。

踏切を渡ると観光案内図の看板がありました。

枚岡公園は、枚岡神社の左手ですが、神社の奥から抜けられそうに思えます。結果的には抜けられなかったのですが、この判断ミスが思わぬ山歩きを楽しませてくれました。

枚岡神社は河内一之宮、結構大きな境内です。石段を登って、本殿の右手の梅園の方へ進むと山へ入る道がありました。

いきなり、もう深い山道になっています。この道は枚岡公園ではなく、枚岡展望台への道ですが、戻らずに枚岡展望台に向かうことにします。

かなりの急坂を息を切らしながら登ります。大阪市内から30分くらいのところでこんな山道が楽しめるとはビックリです。バスやケーブルカーにも乗らず、難波から枚岡まで20分ほど電車に乗るだけです。

ヒラヒラと滑空するように独特の翔び方をする蝶がいました。ミスジチョウです。

道標がところどころに立てられていてありがたいです。

30分程歩いて漸く枚岡展望台にたどり着きました。

絶景かな、絶景かな。

手前の方、東花園駅と花園ラグビー場です。

あべのハルカスとその向こうに港大橋まで見えます。

イオンの看板は、布施です。その向こう、小さく近鉄の看板があって、よーく見るとハイハイタウンも見えます。この右手に自分ちがあり、自分の部屋からも生駒の山がよく見えるので、いつもと反対から見ていることになります。

大阪城もバッチリ!

展望台は頂上ではなく、まだ上へ道が続いています。枚岡神社の創祀の地という神津嶽を越えると少し下りになって、神津嶽休憩所があります。ここで駅前の看板にあった「らくらく登山道」と合流していました。

らくらく登山道とすぐに分かれてまた神津嶽ハイキングコースを辿ります。ここはかなりの急坂でマジ息がきれました。

「胸突き八丁!!、休んでよ」という看板と木のベンチがとても嬉しい。

まだガクアジサイが咲いています。神津嶽休憩所から30分程で防災無線塔のある休憩所に到着。

まだ上へ道が続いているのですが、なんか雲行きが怪しくなってきたので、「弘法の水」とある方へ下りることにします。

15分ほど下ると広い道にでました。なんとこれ国道です。「八土」は八尾土木事務所の略のようです。

もう下ってしまうつもりだったのですが、空はだいじょうぶっぽいし、せっかくここまで来たんだから、暗峠へ向かってみることにしました。

円形のすべり止めの模様で舗装された国道308号を登っていきます。

しばらく歩くと急に視界が広がり、何と山の上に棚田が広がっていてビックリ!

峠近くになると数件の民家があります。寂れきった村じゃなくて、生活感もいっぱいある村です。

マツバギクと茄子の花。

暗峠到着!

大阪と奈良を結ぶ奈良街道の峠で、かつてお伊勢参りへの旅人で賑わったところです。

伊勢参りをテーマにした上方落語「東の旅」シリーズの「東の旅発端」でも登場します。必ず「タン、タタタタン」と拍子木で節回しを叩きながら演じる一席です。

大坂は船場あたりの若い衆、喜六、清八は友達に見送られて安堂寺橋を出発、深江、高井田、額田、と馴染み深い地名の地を抜けてこの暗峠へとやってきます。暗峠では、特別なできごとはないものの、このあと、煮売屋、七度狐・・・、といったエピソードへ続き、三十石船で戻ってくるという「大河落語」ですが、この暗峠付近までの「発端」は旅心をおもいっきりかきたててくれる部分です。

峠の頂上付近は石畳になっています。ここまで自転車で登ってきたツワモノがいました。

こっちはとるものもとりあえずビール、それからそうめん。

通る人は多くありません。喜六清八の頃より、人通りは少ないようです。ビールを飲んでいると空が暗くなってさぁーっと雨が降り出しました。ザァーっとじゃなくてさぁーっとです。

ヤマトシジミ(たぶん)がいました。

峠の茶屋すえひろ、あまりにも心地よく、1時間くらいぼーっとしていました。

雨も上がったので、重い腰を上げて下ることにします。峠の茶屋のおばちゃんの「また来てね」の声に見送られ、大阪側へ元着た道を下ります。

雨が上がり輝く棚田、あまりにも美しい!

ここ大阪府です。谷間にウグイスの輪唱が響き渡っています。

電線でウグイスが鳴いていました。ウグイスはとても警戒心が強い鳥で、こんなことは滅多にないです。つーか、しょっちゅう声を聞いていても、ウグイスの写真を撮れたのは初めてです。

いつものように手ブレ動画です。真上を見上げながらでブレブレですが1分近く撮らせてくれました。

ウグイスってウグイス色ではありません。たぶんメジロと間違って伝えられているんだと思います。山手線はウグイス色ではなくて、メジロ色というべきです。

かなり急な下り坂を行きます。さっき通った弘法の水、残念ながら飲むには不適のようです。

ここで山道から出てきたのですが、まっすぐ国道308号を下ることにします。

国道308号、平均斜度20%、最大斜度38%で、クルマの通れる道としては日本一の急勾配だそうです。

スキー場のゲレンデで林道が中級コースになっているところがありますが、あんな感じです。ボーゲンではきつく、ウェーデルンができる必要があるはずで、つまり膝にかなりきます。

途中後ろ向きで歩いてみたりして膝をかばいながら下ります。

ミスジチョウコミスジをどアップで撮れました。

豊浦橋という橋まで下りてきました。このあたりから枚岡公園の一部になっているようです。枚岡公園って周囲の山と一体になっているようです。

さらに下ると芭蕉の句碑「菊の香に くらがり登る 節句かな」、元禄7年、芭蕉は暗峠を越え、この句を詠んで、大阪に入ってまもなく亡くなったそうです。

額田駅到着です。

ちなみに、今日のルート、暗峠の茶屋以外には水を買うこともできませんでした。枚岡の駅前の自動販売機で買った水を大事に大事に飲んでいました。行き当たりばったりで歩いてしまいましたが、事前にちゃんと調べて、水や食料など、ちゃんと準備して行くべきルートかと思います。