こじゃんとツリカケ

ツリカケとは、電車のモーターと車軸が直結したレガシーな駆動方式のことで、JRや大手私鉄の電車ではほぼ全滅してしまった駆動方式ですが、路面電車では最近普及してきたLRT(低床式の次世代車輌)を除き多くのツリカケ式車輌が現役で活躍しています。駆動方式だけでなく、概してブレーキや制御装置も旧式のもので、ガッタンギーヤー、という昔ながらの電車の乗り心地を存分に楽しめるため、鉄ちゃんにツリカケファンは少なくありません。

そのツリカケ電車が、車種も多く、道路との併用軌道だけでなく、長距離の単線専用軌道でタブレット交換まで見せてくれるという、鉄ごころをおもいっきりくすぐってくれるのが高知の土佐電鉄です。高知駅からの桟橋線、はりまや橋からの伊野線、後免線があって総延長25.3kmもあります。

伊野線の鏡川から先は単線、さらに朝倉駅前から先は、平成17年に廃止された名鉄美濃町線を彷彿させてくれる道路と並行した専用軌道が続きます。トンネルはないものの、立派な橋梁を渡ったり、狭い街道筋を民家や商店の軒をかすめるように走ったり、かなりの急勾配の峠を越えたりと、楽しみがびっしりつまっています。

桟橋線は高知駅から高知港を一直線に結ぶもので、比較的小型の車輌が活躍しています。その中には名鉄岐阜市内線で走っていた車輌も元気で活躍しています。そんな土佐電鉄のツリカケ電車をこじゃんと(高知弁で思いっきり、いっぱい、といった意味)楽しんできました。

動画で伊野から鏡川橋まで、こじゃんとツリカケをお楽しみ下さい。Premiere Pro CCで頑張って編集しました。

以下、動画の補足です。

往路で乗車した土電の主力600形627号、昭和38年製で、おなじく「とでん-都電」7000形(更新前)をモデルに設計されたそうです。かなり好ましいスタイルをしています。

土電伊野駅、小さな建物ですが、かなり清潔で大きなトイレがあります。

伊野駅から途切れた線路が分岐しています。辿って行くと坂の上へ続いていますがほどなく行き止まりになっています。どうやらここに車庫があったようです。

伊野をでてしばらくすると、JR四国土讃線と並走、ちょうど特急南風が!

はりまや橋に到着した動画の主役804号です。土電の運行頻度は高く昼間でも5分間隔くらいで走ってますが、伊野線の大半は鏡川橋で折り返し、伊野行きは1時間に3本だけです。できれば伊野行きは急行にするのもアリかと思うのですが無理かなぁ。

はりやま橋から桟橋線に乗ってみました。乗車したのは1000形1001号、昭和56年製ですが、これもツリカケです。

終点の桟橋通五丁目は岸壁のすぐ手前にあります。海も山も楽しめる土電です。

1001号の車内、うれしい傘の貸出サービスは高知ならではのホスピタリティ。

桟橋車庫前の車庫、右端の青いのは198形元オスロ市電です。柱の影になってしまったのが、7形「維新号」、創業時の車輌を復元したものです。よ~く見ると、維新号の後ろに元グラーツ市電の320形もいます。見学会とかあれば、それだけのために高知へ行ってもいいと思います。

桟橋線の主力200形216号、こっちは「一休さん」こと都電6000形がプロトタイプです。

桟橋線の590形592号、元名鉄岐阜市内線の車輌です。スカーレットのボディ、インテリア、形式名も名鉄時代のまんまで走ってます。土電の各車内では「私の履歴書」も紹介されています。

全線乗り放題の1日乗車券が800円、自分で使用する日付をコイン削りをするのですが、間違って前の日を削ってしまいました。運転手さんに相談してみたところ、訂正印を押してくれました。

600形のアンパンマンミュージアムラッピング車、やなせ先生の思い出と共に走り続けてほしいです。それからツリカケじゃないのですが、LRTも走ってます。

あと後免線も乗って土佐電鉄完乗と行きたかったのですが、それは次回の楽しみに残しておくことにしましょう。