鉄道の時代が終わっていた

最近、中国・四国へ出張の機会が増えました。鉄ちゃんの自分としてはできるだけ鉄道を利用したいのですが、残念なことに鉄道の時代が完全に様変わりしていることに否応なく気付かされます。

例えば、大阪から米子まで、新幹線と特急やくもの自由席で8920円、高速バスは4700円、所要時間はどちらもほぼ3時間半、若干鉄道が早いですが、バスだとなんばOCAT発着なので、バス利用が便利で安いです。

おまけに特急やくもは車内販売なし、喫煙コーナーなし、1982年伯備線電化以来の古い381系を厚化粧した車輌と、アメニティはほぼ何もありません。場合によっては伊丹-出雲空港のJALの方が選択肢になる可能性が高くなります。

大阪から高知の場合、新幹線と特急南風の自由席9480円で4時間弱、一方高速バスは6000円で約5時間です。高速バスは淡路島経由で鉄道よりかなり近道を行くことを考えると、JR西日本に較べてはるかに経営環境が厳しいJR四国がかなりがんばってると気づきます。

南風も車内販売はないものの、瀬戸大橋を通ったり、大歩危小歩危の景勝の眺めることができ、アンパンマンが車内放送したりと楽しませてくれるところも大きいです。

大阪から米子、松江へも姫路から姫新線経由だとかなり距離が短縮できるはずですが、姫新線は完全に超ローカル線と化しており、姫路から津山まで鈍行を3回乗り換えないと辿りつけないありさま、大阪から津山、新見を通って、米子、松江を結べばかなりの需要があるはずですが、JRは中国自動車道に対して完全に試合を放棄してしまっています。

かつて大阪から山陰へは福知山線、山陰線経由の特急まつかぜや急行だいせんというのが常識でした。今よりもっと時間がかかったはずですが、食堂車がついていたり、日本海の車窓を楽しんだりと、アメニティがたっぷりありました。

一方、京阪神以外のローカル輸送では電車をドドメ色一色に塗ってしまうなど、鉄道文化や地域文化を無視するような方向に向っています。写真はJR四国に乗り入れ、宇多津駅に進入するドドメ色115系です。

山陽地区の115系はカフェオレ色と呼ばる独自の落ち着いた3色塗装でした。

JR西日本は京阪神の都市間輸送では私鉄各社をコテンパンにやっつけ、最近ではさくら/みずほで飛行機にも太刀打ちできるようになってきたようです。

山陽新幹線のパーサーのお姉さんたちは美人が多く、接客レベルも飛行機のCAさんを上回るのではと思うくらいです。JR西日本には鉄道文化、地域文化を育む実力があり、そのキャパもあるはずで、地方の鉄道文化の再活性化にぜひ期待したいところです。

一方、JR九州が豪華客船ばりのリゾートトレインを来年運行開始、九州一周55万円だそうです。オリエント・エクスプレスあたりをイメージしたのでしょうが、率直に馬鹿げていると思います。こんな地域の便宜や地域文化に貢献しない列車の運行はJR九州自身が行うべき事業じゃないです。あえてやるとしたら、近鉄のかぎろひのように第一種事業者ではなく、線路を借りて車輌を走らせる第二種事業者がやるべき事業です。オリエント・エクスプレスもヴァージン・トレインも第二種事業者です。

鉄道はもっと普段の生活、便利さ、楽しさに密着したものであるはずです。高速バスや飛行機だと出張の帰り道、缶ビールをプシュ~っとはならないんです。