高野線山岳区間運転再開

昨年10月、台風21号で南海本線男里川橋梁の橋桁が沈下、樽井-尾崎間は1ヶ月の片側通行を余儀なくされ、高野線でも上古沢駅で路盤が流出してしまいました。ずっと運休が続いていた高野線の高野下-極楽橋間が今日半年ぶりの運転再開、早速駆けつけてみました。

トクトクきっぷを買おうとしたら切符売り場に長蛇の列、南海本線が人身事故で止まっている由、並んでいる人たちの大半は外国人、どうみても30分は掛かりそうでトクトクきっぷは諦めてiccocaにします。6300系の急行に腰を下ろし今日のルートを考え直します。気楽に途中下車できなくなったので、極楽橋までは行かず、上古沢で下りて、下古沢まで歩いてみることにします。

高野線沿線は桜が満開。狭山付近、紀見峠、林間田園都市周辺に桜の見どころが多いと分かりました。

橋本に到着、ここも桜が満開。駅売店はクローズしていてicoccaなので途中下車もできず食料調達できませんでした。ここからは2300系じゃなくて2000系でちょっとがっかりも、意外なことに鉄ちゃんも子どもたちも全然いなくてかぶりつきをゲットできました。車内には運行再開初日にもかかわらず外国人観光客、特にKOYASANのパンフレットを手にした欧米系の人が多いです。

九度山でこうや号と交換、丹生川橋梁を渡ります。貫通ドア前に立つの乗務員さんは運行再開したばかりで安全確認のためと思われますが、足元まで広がる2000系のドア窓の前はさぞかし眺めがいいかと。

高野下から上古沢まで、かぶりつき窓にiPhoneをくっつけての動画です。久しぶりの急勾配急曲線を満喫、キーーーという車輪の軋み音がたまりません。聞こえにくいですが乗客の質問に答えている乗務員さんも運転再開が誇らしげです。

上古沢

上古沢に到着、ホームに出たら運転手さんからすぐ発車しますよ、と声をかけられ降りますと返事、南海全体で2番目に乗降人員の少ない駅です。路盤流出で交換駅から棒線駅に改造、上り線のレールは剥がされていました。ここでの交換風景が見られなくなったのはちょっと寂しいです。鉄ちゃんも誰もいませんが駅員さんがいます。

駅舎は以前のまま、ホオジロが大きな声で出迎えてくれました。

ホーム脇のヤマザクラが満開、花の陰を天空が通過していきます。

急坂を下りて谷を渡ります。イソヒヨドリがいてここが和歌山県だったと思い出しました。和歌山でイソヒヨドリはテッパンです。

谷を渡り振り返ると高野線がよく見えます。31000系こうや号が勾配を上って行きます。1編成しか無い形式です。ここでもホオジロ。以前も立ち寄ったドライブインで柿の葉寿司をゲット、なんとか食料を調達できました。高野線山岳区間撮り鉄の時には難波出発前に食料の調達がベターです。

電線にツバメ、もうこんな季節です。30000系こうや号が山から下りてきました。こうや号が走る下に路盤を修復した様子が見えます。大規模な崖崩れとかは無かったようで良かったです。

ツバメが落ち着かないしぐさを続けています。背中がまだ青く尾羽も短く若鳥のようです。とても遠い南の国からやってきたとは思われず越冬ツバメかも知れません。

2300系が上ってきました。サクラだけじゃなくてツバキも美しい。

国道370号沿いにひっそりと満開の桜を他に通る人もなく独り占め。桜の額縁に飛行機雲。

中古沢

坂道の土手に咲いた花、左側のピンク、手前の白、真ん中の紫、右側の濃いピンク、それぞれ違う種類ですが名前は不明。その先に桜。

谷の反対側の桜の群生、1本の大木のようにも見え、なんとも見事です。

和歌山県の県鳥はなぜかメジロですが、もうイソヒヨドリにすべきと思います。中古沢橋梁へ行ってみようかと一瞬思ったものの、結構歩くので今日は止めておきます。

2000系がトンネルに入って行きます。ツバキの花が不動川を流れて行きます。

キセキレイと一緒に31000系を眺めます。

古沢小学校

電車の車窓からもよく見える古沢小学校です。近くまで行ってみます。右側の建物は幼稚園が併設されていたのでしょうか。ここの桜も満開で来週辺り入学式があってもおかしくないです。

長く休校状態だったのが昨年9月末でとうとう廃校になったそうです。図書室と思われる教室にはたくさんの本がそのままです。

かなり立派なプール、手前にはもうひとつ低学年向けの浅いプールもあります。振り返ると天空が上って行きます。

朝礼の時に校長先生が立つ台は使用禁止。たくさん遊具も残されていて整備状態も良さそうですが全て使用禁止と掲示されています。結果的に税金の無駄遣いになってしまったことも小さく無さそうですが、九度山町の過疎化阻止への強い思いが伝わってきます。

交通量の少ない国道370号を渡る信号、古沢小学校への通学のために設置されたものの押しボタンが押されることはもうありません。下古沢駅へ坂道を登ります。

下古沢

小さなトンネルを潜ると下古沢駅に出てきました。敷設されたばかりの下り線にこうや号が入線。

変わらない下古沢駅、谷に下古沢の美しい集落が広がっています。線路脇で近所の人と思われる若いお母さんと小さな兄弟が電車見物していて、思わず半年ぶりの電車見学やね、と声をかけずにはいられませんでした。もう少しこの子たちが生まれるのが早ければ古沢小学校は廃校にならずにすんだのかもしれません。

下古沢駅前に立つ見事なソメイヨシノの古木。お日様を透かしてみます。

配属されたばかりのはずの若い駅員さんと昭和3年開設以来変っていないと思われる木造駅舎。

路盤が流出した上古沢駅に代わり下古沢駅が交換駅に。平成14年まで交換駅から棒線駅になっていたものの交換駅に再昇格、下り線にレールが敷かれ、惚れ惚れするようなS字を描いています。

2300系が下りてきました。これで帰ります。

橋本に戻ってきました。スイスの登山鉄道MOBと南海電鉄が姉妹鉄道協定を締結したのは昨年10月24日で路盤流出とほぼ同時、漸く日の目を見ることになったSister Railwayのサボが嬉しげです。6300系の急行に乗り換えます。

APPENDIX

往きの車窓から見えた狭山-大阪狭山市間の桜並木を目指してみます。かぶりつきで前面展望していたら林間田園都市手前辺りで満開のさくらを背景に対向の6000系が目に飛び込んできました。カメラの電源を落としていたのが悔やまれます。大阪狭山市駅で途中下車、往きの車窓遠くに見えた狭山池の桜はもうかなり葉桜になってしまっていて先へ進みます。

もう狭山駅に近い辺りで築堤の桜並木にたどり着きました。狭山池と違ってまだオッケーです。30000系こうや号がやってきました。このところ空を大きくとる構図が気に入ってます。

桜並木に沿って西日の中のこうや号を追いかけます。この桜並木は明らかに南海の敷地内、保線部門の管理なのでしょうか。周辺に築堤を潜る大小いくつかの古いレンガ積みのトンネルがあり、改めてじっくり回ってみたいところです。

難波到着、6300系のコルゲート板に取り付けられた製造銘板は6100系から改番されたので一部が削り取られています。屋根のR部分は薄手のステンレス板がリベット止めされていて、じっくり見ていると昔の南海電車、例えば11001系初期車のような面影が残っていると気づきました。

先般6000系は2023年までに置き換えと発表されていましたが、6300系はまだまだ頑張るはずです。

今日で最後の大阪市交通局、駅の出入口の電照看板は既に差し替えられ新しいロゴをマルコマークのシールで隠しています。なんばWalkでちょっと一杯入れて、近鉄で帰らずに地下鉄で帰ります。日本橋から千日前線には乗らず、堺筋線、長堀鶴見緑地線、谷町線と1駅ずつ乗り換えて谷九に到着。