情報革命バブルの崩壊

最近、新書本の勢いがすごいですね。かつての文庫本ブームより、出版点数が多いのではないでしょうか?推理小説を読むよりも、読むことで自分のためになる可能性が高く、タイトルや裏表紙の紹介文を読んで選択して、ハズレになる可能性は文庫本より低いと思います。出版社にしてみると、著者を探し出すのも文庫本より易しいのかも・・・

ちらっと立ち読みして、目次で興味ある内容かどうか、自分の知らなさそうなことが含まれているか(つまり勉強になるかどうか)、それと文章の読み易さをチェックしておけば、自己啓発とか構えなくても、大体、読後の満足感が得られるように思います。

情報革命バブルの崩壊 (文春新書)

とても面白い一冊です。一気に読んでしまいました。ソフトバンクの事情とか、自分の全然知らなかったことがいっぱい書かれていて、ワクワクしながら読み進みました。いち早くリーマンの破綻とかも触れられていて、最近の新書本は雑誌の機能までカバーするようになっていることに気付かされます。

情報革命で処理しきれない程の情報が溢れても「人の脳というコップの総量は変わらない」など、うなづける表現も多くあります。

しかし、「ネット無料文化の見直し」を訴えるものの、ネット広告のあり方の記述では、バナー広告など大手広告主の視点に主眼を置いていて、Adwordsとかウェブ広告の本質的部分に触れられておらず、また、ネットのコミュニティの捉え方が2ちゃんねる的視点ばかりで、より有益にそれを実際に活用している人たちの視点があまりないように思われました。

確かに情報革命バブルが崩壊して、立ち行かなくなる企業が多く出てくることは間違いないと思います。その場合、インターネットのインフラそのものも危機に瀕する恐れについて警告を発していることは慧眼と感じます。

インターネットというものは、そもそも出自自体、商業利用が目的だった訳ではなく、電気やガスと同じように、既に生活インフラとして定着したという観点から、国や消費者がそれを守っていくという方向性が求められてきている、と解釈したいと思います。