ガイアの夜明け 納豆カレー

デフレに苦しみつつも、工夫と努力をしている小規模事業者の社長さん達を紹介していました。

前半はハンパ商品を探しまわったり、円未満、銭単位の値引き交渉を重ね、消費者の支持をつなぎとめている小規模スーパーのお話。汚れたジャンパーで奮闘する社長さんが印象的でした。

後半は販売先の値下げ交渉を蹴って、付加価値路線を模索する納豆メーカーのお話。

小粒納豆主流の中で、あえて大粒の国産原料にして、地元産をアピール、スーパーではなく、サービスエリアでの販売にシフト。考えられるマーケティングですが、目新しい、すばらしいアイデアとは思えませんでした。

そしてレトルトカレーのメーカーとタイアップして作ったのが、人気作家の美少女キャラのライセンスを付けたレトルトの納豆カレー。これをコミケで売るというお話。500円の価格設定でコミケの2日間で見事5000個完売!これは拍手!なのですが、これって食品メーカーの付加価値戦略としては、いかがなものか、と思う訳です。

実は自分自身、コミケではないのですが、似たようなイベントで、とあるキャラクタのレトルトカレーを販売したことがあります。結果は失敗。カレー以外にも同じキャラクターでいくつかのオリジナル商品を揃えトライしたのですが、この納豆カレーのような来場者の大多数に対し確実に人気になるようなキャラクターではなかった、「美少女系」は避けたかったという食わず嫌いがウラ目になった、自分の思い込みが強すぎた、という自己分析をしています。

しかしながら、この納豆カレーが年間定番化できるほど、このキャラクターが圧倒的かというと、疑問です。食品としてはかなり限定的な顧客層に限定されるはずです。オタク君たちの人口が多いのは間違いないのですが、彼らが納豆カレーのリピーターになってくれるとも考えにくいです。フィギュアやトレカは眺めたりコレクションになるのですが、カレーはレトルトでも賞味期限があります。

パッケージに3種類のトレカがブラインドで入っているということでしたが、3種類ではコレクションになりません。では第2弾、第3弾と商品が出せるか、というと納豆メーカーとしてはやはり商品展開に限界があると思います。この納豆カレーはあくまで一時的な話題を提供しただけではないか、という感じがします。

この社長さん、オタクマーケットに関しては、やはり素人という感じを否めません。オタク君達の心理を知り尽くしたその道のプロは数多います。そのプロ達に張りあって行けるとは、番組を見る限りでは、とても思えませんでした。

食品メーカーの付加価値はやはり、おいしさとか、健康に良いとか、そっちしか無いのではないでしょうか?

美少女キャラのレトルトカレーはあっていいと思います。でもそれを納豆メーカーが主力商品にする、オタクマーケットがデフレ対策、といった考え方は、かなり危険だと思います。